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「4年間自分を褒めたことはなかった」 史上初の“アマ2勝”から4年、今季は“キャリアグランドスラム”達成へ【蟬川泰果インタビュー・前編】

2022年に史上初のアマチュア2勝を含め、通算5勝を挙げている蟬川泰果。今年の国内男子ツアーの顔の一人になるは間違いない存在。歴史的なアマVを飾ってから4年。ここまでの振り返りや26年について聞いた。

所属 ALBA Net編集部
高木 彩音 / Ayane Takagi

配信日時:2026年2月5日 14時00分

蟬川泰果がこれまでの4年間を振り返り、今後の目標を明かした
蟬川泰果がこれまでの4年間を振り返り、今後の目標を明かした (撮影:佐々木啓)
樫山ゴルフランドで発見!蟬川がジュニア時代に書いたイラストやサイン

樫山ゴルフランドで発見!蟬川がジュニア時代に書いたイラストやサイン (撮影:佐々木啓)

2022年に史上初となるアマチュア2勝を含む通算5勝を挙げた蟬川泰果。今季の国内男子ツアーを代表する存在の一人になることは間違いない。歴史的なアマチュアVから4年――これまでの歩みを振り返るとともに、2026年シーズンへの展望に迫った。取材は、蟬川がジュニア時代から練習を重ねてきた兵庫県・樫山ゴルフランドで行った。(取材/構成・高木彩音)


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■息つく暇もなくプロ転向をして日本&世界を転戦

蟬川泰果がこれまでの4年間を振り返る

蟬川泰果がこれまでの4年間を振り返る (撮影:佐々木啓)

2022年、当時東北福祉大学4年だった蟬川泰果は6月の国内男子下部ツアー(現・ACNツアー)の「ジャパンクリエイトチャレンジ in 福岡雷山」で優勝を飾ると、9月にはレギュラーツアーの「パナソニックオープン」で当時としては史上6人目のアマチュア優勝を遂げる。そして翌10月には「日本オープン」では、第一回大会の赤星六郎以来95年ぶりとなるアマチュア優勝を遂げ、史上初となる“アマ2勝”を飾った。そこからあっという間に4シーズンが経った。

ウイニングパットを沈めてガッツポーズ!2022年の日本オープンを制した蟬川泰果

ウイニングパットを沈めてガッツポーズ!2022年の日本オープンを制した蟬川泰果 (撮影:上山敬太)

22年10月にプロ転向をすると、同週に地元で開催された「マイナビABCチャンピオンシップ」でプロデビューを飾った。プロとして初めてフル参戦した2023年は「関西オープン」でプロ初Vを挙げ、最終戦の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」を制すなど、自身初の賞金王争いを繰り広げた。結果は賞金ランキング2位と存在感を大きく示した。

さらに24年は海外ツアーにも積極的に参戦した。PGA(米国)ツアーは「ソニー・オープン・イン・ハワイ」など3試合、DPワールド(欧州)ツアーは「シンガポール・クラシック」、「タイランド・クラシック」、7月には日本オープン覇者の資格で海外メジャー「全英オープン」にも出場した。 “TAIGA”の名を世界に知らした。

――アマチュア優勝からここまでの4年間を振り返ると?

「(初優勝からここまで)本当にあっという間でした。日本オープンで優勝したあとに一息つけるかなと思ったんですけど…。大学の引退試合があったので、そのまま移動して試合に出て、1週明けて(プロ転向後に)ABC、VISA、ダンロップフェニックスと3試合に出たので。なんかもう、ひたすら走っていたなと思いますね(笑)。

普通だったらオフが4カ月ぐらいあって、しっかりトレーニングしながら少し息抜きをして、(シーズンが)スタート――。という感じが、(新年は米国の)ソニーオープンから、アメックス、ファーマーズに出て1週明けて、シンガポールとタイに行ったんですけど、その時はホントに一瞬でしたね。

2022年のマイナビABCチャンピオンシップ出場時

2022年のマイナビABCチャンピオンシップ出場時 (撮影:鈴木祥)

アメリカのPGAツアーに行った時も、予選を通れたのは2試合だけで、上位に食い込める感じではなかったんです。“挫折”という言い方は違うかもしれませんが、『もっとここからいけるんじゃないか』と自分にすごく期待はしていたので、うれしいことと悔しいことが一瞬で来ました。日本ツアーが始まって、次の年(2024年)もPGAツアーに出させてもらえて。少しずつ良くなっているのかなと思いながらも、この4年間、自分を褒めたことはなかったですね。

1ラウンドでも納得いかないところがあると、かなり落ち込むので、そのぶんストレスも大きかったと思います。特に、去年(2025年)の1月から2月にかけて(米下部ツアーの)コロンビアで骨折した時は、気持ちがかなり複雑でした」

――未勝利に終わった2024年はもどかしかった?

「はい。もどかしかったですね…」

――こういうシーズンもあると思ったのか、不満だったのか。

「嫌だなと、思っていました。自分の体の調子がどんどんピークに上がってきている段階で、結果が出ないというのは、もどかしいな、というか。準備不足だなとは思っていた。2026年も不安でいっぱいです。去年、勝てなかった試合が多い中で、また勝てるのかなっていう不安はすごく多いです」

■ケガから“ジャンボ超え”のメジャーで復帰Vも…“弱さ”を感じたシーズン

ケガから復帰後の4試合目で優勝を挙げた。左は奥様の蟬川葵さん

ケガから復帰後の4試合目で優勝を挙げた。左は奥様の蟬川葵さん (撮影:佐々木啓)

昨季序盤は、米国男子下部のコーン・フェリーツアーを主戦場にし、昇格を目指していた。だが、2月にコロンビアで開催された試合に参戦中、背中に違和感があり棄権した。レントゲン、CT、MRIなど、あらゆる検査を受けても異常がなく、不安と闘う日々だった。痛みの原因が判明するまで1カ月以上がかかり、最後に行った病院で左肋骨の疲労骨折だとわかった。

そこから懸命な治療とリハビリを重ね、5月の国内男子ツアー「中日クランズ」でツアーに復帰。そこからわずか4試合目のメジャー「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」でプレーオフの末、通算5勝目を挙げた。24歳148日での日本タイトル3冠となり、ジャンボ尾崎の27歳248日を更新して史上最年少となった。

――ケガを乗り越えた2025年を振り返ると?

「怪我から復帰して、万全ではない状態でシーズンを迎えていたんですけど、やっぱり試合中に(スイングを)変えることが難しかったので、とにかく振り切ることだけをずっとやっていました。そのぶんオーバースイングとか、あまりスイングを意識しないことから来る“良くない要素”がすごく多かった」

――ケガしたときのメンタルはボロボロ?

「なんかもう、そうですね。(心が)えぐられました。1カ月ちょっと原因がわからなかった。どこの病院に行っても骨がキレイになっているので安静にしていたら大丈夫ですって。普通にゴルフクラブ振っても大丈夫ですって言われても、振ったらすごく痛かったので、なんでかな…と思って。最後に行った病院でわかって、けっこうきつかったですね。約3カ月間、これだけ自分がゆっくり休んだのもホントに初めてでしたね」

――万全のコンディションではない中で「日本ゴルフツアー選手権」で優勝できたのは何がよかった?

「ショットというか、ドライバーが特に100%ではなくて。でもあの一週間はパターがホントにハマったので、パターでスコアが良かったのかなとは思います。あれだけピンが振られた中で、グリーン上のパフォーマンスはみんな難しかった中で、僕はすごくいいパフォーマンスができた。その分で補えたのかなとは思います。でも、もっとショット力やパッティング力が良ければ、もっとレベルが上がって、ムラが少なくなってくれば、もっと上で戦えるんじゃないかな…っていうことは思いました」

海外遠征、ケガで辛いときなど側で支えてくれた奥様の蟬川葵さん(左)

海外遠征、ケガで辛いときなど側で支えてくれた奥様の蟬川葵さん(左) (撮影:佐々木啓)

――勝ててよかった”安心”? “やっと来た”という気持ち?

「“やっと来た”、という気持ちですね…。2022年に日本オープンを優勝した時に5年シードをもらって、そこから翌年にゴルフ日本シリーズJTカップも勝ったんですけど、でも日本オープンの複数年シードもどんどんなくなっていく中で、不安や焦りはありました。また5年シードをもらえたことは、少し安堵した部分はありました。でも逆に、その優勝がもっと“勝てるな、勝てそうだな”と思える内容だったので、残り試合で優勝できなかったのは、まだまだ気持ち的な部分が、弱かったなと感じました」

――メンタル面が課題だった?

「はい。技術でも課題はありますが、そこも大きいと思います。ほんとに“2勝目したい”、“今季2勝目を挙げたい”って、いろんなメディアさんに言っていたと思うんですけど、その中で、3日目に首位に立って、最終日にスタートしていく時に、“勝ちたい”気持ちが先行しすぎたときがあったり、逆にフラットに行きすぎた試合もありました。

その微妙な自分の中で勝ちパターンみたいな、明確なものがなかったので、最後競った時に、チャンスどころで決められなかったパットやショットもすごく多かった。その辺をうまく噛み合わせできたらいいのかなとは思います。でも、そこだけではなくて、技術的にももっと上げられるように、スイングから変えていきたいなとは思っています」

左は奥様の蟬川葵さん

左は奥様の蟬川葵さん (撮影:佐々木啓)

■キャリアグランドスラムもかかるシーズン

蟬川泰果は“キャリアグランドスラム”達成へ

蟬川泰果は“キャリアグランドスラム”達成へ (撮影:佐々木啓)

日本タイトルは全部で4試合。蝉川はアマチュア時代の2022年に「日本オープン」、2023年に「ゴルフ日本シリーズJTカップ」、2025年に「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」と3冠を挙げている。「日本プロ」を制せば、07年の片山晋呉以来、史上6人目の日本タイトル4冠、いわゆる“キャリアグランドスラム”達成となる。

――キャリアグランドスラムへの意識はある?

「ここまであと1つと言われると、取りたいと思っています。去年欲を言えば取りたかったし、初めて出た2023年の日本プロも(優勝に)届きそうな位置だった。2024年は杉浦悠太選手に1打差で負けたので…。日本プロ、取りたいですね。本当に。絶対そこは、今年は取りたいと思っていますね」

――メジャーに照準を合わせている?

「難しい。まだ定まっていないですけど、でも、全部勝ちたいですよね。欲を言えば、それぐらいの気持ちではあるので。アマチュアの時はメジャーに照準を合わせていたけど、それは試合数が少なかったから、そこに合わせやすかっただけなので。プロの試合となると、そう上手くはいかしてくれない。でも、心のどこかでは毎週(優勝を)狙っています。でも、目標としてはメジャーです」

――通算25勝で付与される永久シードは目指している?

「みんな初優勝を狙うなど言うけど、やっぱりコンスタントに一勝できれば、というのが頭の中では多分あると思う。僕は(永久シードに)行きたいですね。60歳になっても、引退している時でも、“1試合だけちょっと出よう”とか。中日クラウンズだったら、飛距離がなくても大丈夫かなとか(笑)。技術をつければなんとかできるかなとか。戦略性の高いコースだったら、1回復帰したいなって思いますね。そういうのはすごく先で、こんなことがあったらいいなとは思って、ふわっと想像しています。『そんな簡単じゃないよ』と言われるかもしれないですけど、頑張りたいです」

■蟬川泰果
せみかわ・たいが/2001年1月11日生まれ、兵庫県出身。2022年に2022年9月の国内男子ツアー「パナソニックオープン」で史上6人目となるアマチュア優勝を達成。同年10月には「日本オープン」で第一回大会以来95年ぶりとなるアマチュア優勝を遂げ、史上初となるアマ2勝を飾った。2022年10月31日にプロ転向を宣言。23年の「関西オープン」でプロ初優勝。同年の最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」では史上最年少での大会制覇を果たした。24年11月にタレントの久保葵さんとの結婚を発表した。25年「BMWツアー選手権森ビル杯」でプレーオフの末優勝。24歳148日での日本タイトル3冠は、ジャンボ尾崎の27歳248日を更新して史上最年少となった。

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