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宮里藍、涙の引退会見【写真】
「努力ができることは、才能のひとつ」と言われることがあります。しかし、私はその言葉に少し違和感を覚えています。なぜなら、プロキャディの時代に関わってきた「天才」と言われる(言われたであろう)プロゴルファーは、往々にして努力を「努力」と感じていないのではないかと思っていたからです。
モチベーションは低下するもの
やる気を引き出すような「動機」や「目的意識」という意味で、「モチベーション」という言葉が用いられますが、特にスポーツの世界ではその言葉をよく耳にします。それは、ゴルフ業界でも同じ。特に、「職業としてのプロゴルファー」ということに意識が引っ張られてしまうと、その低下は顕著になりがちです。
モチベーションを維持するための方法は、その人によってではありますが様々な方法が言われています。「目標の設定」や、それに対しての「達成状況の確認」。「体力の温存」とそのための「オンオフの切り替え」といったことです。
予選を通過する。シードを獲得する。優勝する。アメリカツアーに挑戦する。――といったように、プロゴルファーという職業は、目標を掲げやすく、モチベーション維持も比較的容易な職業と言えますが、大きな荷物を抱えて日本全国を転々と移動する日々。欠かせない練習とトレーニング。そして、そこから発生するモチベーションの低下に対する不安。常にそれを高く維持していなければならない職業であるからこそ、その維持は難しいものに感じます。
2017年に引退をした宮里藍プロも、モチベーションの維持がいかに難しかったかを会見で語っていましたが、私がキャディをさせていただいていたときにもそういった時期がありました。悩んだ週に、あっさり優勝して再び元気になっていましたが。
努力の習慣化
モチベーションは、時とともに下がるもの。それは仕方のないことで、「100を切りたい」という明確な目標があった頃は夢中になって練習していたゴルフも、ラウンドの予定がなければ練習場にも行く気が起きない。――そう悩むなら、「何曜日の何時になったら練習場に行く」と決めてしまえば、そのうちにまた新たな目標が見えてくるかもしれません。
■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝をサポート。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。
