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プロキャディもハウスキャディもつけずに優勝したツアープロは?【写真】
プレーヤーが、ラウンド中に唯一助言を求めて良い存在であるキャディ。ところが、セルフプレーが主になりつつある昨今、キャディがいないゴルフ場も珍しくなくなりました。ゴルフ場がキャディを直接雇用することは減り、キャディ派遣を利用するゴルフ場も増えています。
プロゴルフトーナメントにおいても、コロナの影響と電動の手引きゴルフカートの登場により、プロがセルフでプレーする姿が見られるようになりましたが、未だキャディの存在は大きなものであり、その需要は増えている印象です。ハウスキャディとプロのキャディは何が違うのか。なぜ、ハウスキャディは減っているのに、プロのキャディの需要は増えているのか、考えてみたいと思います。
ハウスキャディが減少している要因のひとつとして考えられるのは、乗用カートの普及とその進化です。キャディとは本来、キャディバックを運ぶことが主な仕事。15キロから20キロほどあると言われているキャディバックを、18ホール担いでプレーするのは、大変な体力が要るものです。代わりに運んでくれる存在として、キャディは欠かせませんでした。
ところが、乗用カートの普及により、キャディの一番重要な仕事が無くなりました。乗用カートは、キャディバックどころかプレーヤーまで運んでくれます。キャディのなり手不足も後押しをし、セルフプレーを許可するゴルフ場が増えました。最近では乗用カートにGPSが導入されて、『ティショットの狙い所』、『ピンまでの残り距離』といった各ホールの案内や、『スコア管理』、『ラウンドスピードの警告』までしてくれる優れもの。キャディの助言など必要ないと思われるのも、仕方のないことです。
では、プロのキャディが必要とされているのはなぜか。まず、プロのトーナメントにおいて乗用カートへの乗車は禁止されています(例外もあります)。つまり、キャディバックを運ぶという仕事が、大前提としてあります。
コースに関しての情報も、選手が使えるものは販売されているメモと前日までに行うコースチェックで知り得たもののみ。緊張感の伴う状況でのプレーを強いられているプロゴルファーにとって、唯一の味方であり、助言をくれるキャディという存在が重要であることは、想像に難くありません。
それでも、ハウスキャディという存在が完全に無くなるものとは思っていません。彼らはラウンドのスピード管理のプロであり、そのコース独特の癖のようなものを熟知する者。ボール探しの早さや的確なラインの読みに救われたゴルファーも少なくないのではないでしょうか。そして、これからはゴルフへの助言だけでなく、会話や組の雰囲気作りなど、ラウンドに価値を付加するための存在として、必要とされる場面はまだまだ残っていると思っています。
■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝に貢献。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。