今回は、ゴルフのスコアについてのお話です。
ゴルフは、クラブでボールを打って、穴に入れるゲームです。打った数が少ないことを競います。その打数がスコアです。簡単に書けば成績という意味です。
ゴルフは元々、マッチプレーという対戦型のゲームでした。1ホールごとの勝ち負けの対戦成績には特に呼び方はなかったようですが、19世紀末に、ストロークプレーという合計スコアを競う競技方法が徐々に増えて、打数を数えて成績とするようになりました。このときに使われたのがスコアという言葉で、元々は、羊飼いの用語だったそうです。
羊を数えるときに、20ごとにまとめた区切りをスコアと呼び、例えば、62匹なら「3スコア&ツー」と表現しました。スコアは区切りとか、刻むという意味だったので、音楽の五線譜もスコアですし、ゴルフクラブのフェースに彫られた線もスコアラインと言います。
いずれにしても、ゴルフは整数のスコアがあることで、その魅力を倍増させています。例えば、東京ドームを突き破るような飛距離の1打も、ボールひと転がりの1センチの1打も、全く違う中身なのに同じ1打なのです。1打、1打の積み重ねには無限の組合せがあり、ある意味でやり直しができない一期一会なのです。
スコアを記入するスコアカードが、とある発明や普及に欠かせなかったいう話は面白いのですが…… それはまた、別のお話。
文・篠原嗣典/画像・GettyImages