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2020年 全米プロゴルフ選手権

海外メジャー「全米プロゴルフ選手権」にまつわる記録をご紹介!

配信日時:2020年8月2日 15時32分

■カメラマンが捉えた、松山英樹の悔し涙

(撮影:岩本芳弘)

(撮影:岩本芳弘)

日本人選手が最もメジャー優勝に近づいたのが、2017年「全米プロゴルフ選手権」。

当時、現場でその瞬間を捉えていた岩本芳弘カメラマンが、松山英樹の涙について振り返る。

ーーー

現在、世界中の人々が新型コロナウイルスで何かしらの影響を受けています。私もあの試合を撮影していなかったら、この新型コロナウイルスによって別の人生を歩む決断をしていたかもしれません。それほど、あの試合はツアーカメラマンとして、私の人生に大きく関わった出来事といえるでしょう。

先日、2025年の全米プロの開催地がクェイルホロークラブと発表されました。その場所は忘れもしない17年、松山英樹プロが日本人として世界4大メジャーのタイトルに1番近づいた試合ではないかと感じています。

17年は「全米オープン」、「全英オープン」でも優勝という文字が見出しになるくらいの上位でラウンドしていました。また、当時8月開催だった全米プロ前週の「WGC-ブリヂストン招待」では最終日に「61」というビッグスコアで優勝。その勢いのまま、全米プロでも最終日は最終組の1つ前でスタートをして行きました。前半は松山プロに流れがあったと記憶しています。首位で残り9ホールというところまできて、撮影している私にとっても今まで経験をしたことがないくらいの緊張感がありました。
(撮影:岩本芳弘)

(撮影:岩本芳弘)

流れが変わったのは9番、10番あたりだったと思います。9番グリーンまではトーナメントリーダーの松山選手に多くの声援がありました。しかし、9番、10番と連続バーディとした地元アメリカのジャスティン・トーマスの優勝が見え始めると、多くの声援はトーマスへと移っていきました。11番セカンドでは少し待ち時間があったので周りの雰囲気が落ち着けばいいなと感じたましたが、火のついた声援は止まらず、その後の流れはトーマスに。14番、15番と連続バーディを取った松山プロでしたが、終盤は完全アウェイの雰囲気。ロープ側にいた私もまわりの雰囲気にも飲み込まれてしまったような記憶があります。
ラウンド後、通常なら優勝した選手の優勝セレモニーを撮影するのですが、その時ばかりは松山プロのインタビューの場に。そして…忘れられない涙の場面を目撃することとなりました。

松山プロにとってあの時の調子や勢い、また練習量などすべてにおいてベストな状態で戦った試合の1つであったと私は感じています。最高の緊張感の中でもベストなゴルフをしていたとも思います。それでもタイトルには手が届かなかった。現場にいた私もメジャータイトルの重みを目の当たりにし、もらい泣きするくらいの雰囲気だったことを覚えています。

3年経った今、あらためて考えると私にとってあの涙は最高の状態のゴルフを「生で見ることができた」、「撮影出来た」、「今までで1番ドキドキした」という証でもあり、感謝でしかありません。そして松山選手ならいつか必ず4大メジャーを優勝すると思わせてくれた1番の試合でもあります。

残念ながら、現在の新型コロナウイルスの影響で世界中の人達が苦しい状況になってしまいました。私も家族のことを考えると終息してすぐに海外に行って撮影する状態ではありません。でも、いつかは松山選手がメジャー優勝を果たすと信じて、そしてその場面を撮影出来ると信じて毎日を過ごしています。必ずメジャー優勝するシーンを撮影するんだという気持ちを忘れずに今後もゴルフカメラマンとしての人生をおくっていきたいと思います。【岩本芳弘】

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