そして、先週のように、望んでもいない誤情報に振り回され、世界ランキング51位という最も悔しい位置に立たされ、それでも望みを捨てず、ラストチャンスに挑んだ。そしてさらに心を切り替え、平常心で戦った。
そんな経験をしてきた選手と比べたら、新人選手の当然ながら少なすぎる経験は、彼らのメンタリティを土壇場の窮地に耐えうるほど強靭(きょうじん)にはしてくれないのだと思う。
ポールターには、その強さが備わっていた。だから彼は、近づいては遠のき、近づいては遠のいたオーガスタへの最後の切符を冷静に追いかけ、つかみとることができた。
「入るべきときにカップに沈んでくれた。落胆のあとの勝利と喜びは、すばらしい」
毒舌家。変わり者。いろいろ言われてきたポールターだが、42歳の今、いい表情といい心を携えて、すぐさまオーガスタに向かう彼を、今、とても応援したくなっている。
文/舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)