今年のマスターズウィーク中の松山は「何が起こるかわからないので」というフレーズを毎日のように口にしていた。米ツアーや世界の舞台で、いいことも悪いことも、たくさん経験してきた松山は、だからこそ予想外のことが起こると信じ、諦めず、気を抜かず、黙々と勝利に向かって進もうとしていた。
けれど、それでもなお、誰の想像をも超えてしまうほどの「思ってもいなかったこと」が起こる。きっと、それがオーガスタの恐さであり、マスターズなのではないだろうか。
それを一番痛感させられたのは、スピースだったと思う。前半に4つもスコアを伸ばし、通算7アンダーの首位で後半へ。折り返した時点ではウイレットより3打も上を行っていた。
だからスピースは後半は「パーで十分」と考えた。しかし、その「パーなら十分」というゴルフの基本のような考えが、あれほど好調だった自分のゴルフを様変わりさせてしまうとは、彼だって思ってもいなかった。
「パーなら十分と思ったせいで、逆に十分に攻めることができなくなり、それが崩れる原因になった」