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【コラム】苦悩のシーズン…石川遼、米ツアーでの“心の戦い”

【コラム】苦悩のシーズン…石川遼、米ツアーでの“心の戦い”

配信日時:2015年3月10日 07時44分

 迷うことなく本筋だけを狙う。しかし、米ツアーの難コースは簡単にそれを許さない。ピンが厳しい、池が多く絡む、ラフが深い…そうした要素を考え出すと守りに入りたくなるのもまた事実で「例えば、フェアウェイに打ちたいけど、右にある池にいきたくないなっていう求めるものが複数あるとどっちもできなくなる」。自分のスイングにフォーカスするという“本筋”を見失った時に“狙い”がブレていく。それは技術面だけでなく心の戦いでもある。

 「日本で10代でやっていた時、周りから見たら開き直っている感じで、両サイドOBで狭いホールなのにドライバーでマン振りしていくっていうのが僕のスタンスだった。そこにトライしていくっていうことしか考えてない。ある意味本筋。それがアメリカでそういう1打のミスが簡単に予選落ちにつなるというのを思い知らされた。ミスしちゃいけない、バーディを狙わないでやっていったほうがいいんじゃないかって思ったこともあった」。米ツアーの戦いに慣れていく一方で、“らしさ”を失っていた。

 石川は続ける。「でも、それを別に悪いとは思わない。攻め方は変わっても大事なのは常に本筋にトライしているかということ。先週(ホンダクラシック)は池があれだけ絡んでるコースで4日間通して5回ぐらい池にいれてるけど結局25位で終わっている。先週は本筋しか狙っていなかった。そこが僕の行きたい場所、求めてる場所かなという感じがする。もっとトライしたい。今はいくらできなくてもトライしていく。もっと強くそう思いたいし、それが必要だと思う」。

 石川はある時ボソっとこうこぼしたことがある。「僕、セべになりたいんすよ」。その時の雑談の意味合いは、あのセべリアーノ・バレステロスのように、どこに曲げてもリカバリーしてバーディを獲っていくようなプレーを見せたいといったような内容だったが、強い気持ちで本筋を狙ってトライしていくという言葉は、どこかあのレジェンドに重なる部分もないだろうか。もちろんセべになんてなれないけれど、強い言葉の中ににじんだ石川の覚悟。今すぐ結果につながらなくても、本筋へのトライをしっかり見届けたい。

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