J・スピース「ヒデキは勝負師の本能を持っている」
かつては、戦う場を求めて世界各国を放浪する下位選手たちのことを「ラビット」なんて呼んでいた時代があった。だが、現代は逆にトッププレーヤーたちが世界を駆け巡る時代。米ゴルフ界の期待を背負う新鋭スピースがアジアへ、オーストラリアへと駆け回る姿は選手たちのグローバル化の表れだ。
オーストラリアン・オープンは110年の歴史を誇るオーストラリアのナショナルオープン。母国の由緒ある大会にアダム・スコットが出場するのは当然と言えば当然だが、その一方で、今年の大会には世界12か国から選手たちが集まり、ディフェンディングチャンプとして大会2連覇に挑んだのは北アイルランドのローリー・マキロイ、優勝したのは米国のスピース。出場選手、注目選手とも国籍は多様化していた。
スター選手は高額のアピアランスフィー(出場料)を受け取るのだから、海外へ出向くのはシーズンオフの小遣い稼ぎにすぎないという見方もある。だが、高額を支払ってでもスター選手を呼んで盛り上げようという意志や経済力が各国の大会側にあるということは、それだけゴルフ界でお金が回り、興業ビジネスとしてのゴルフがいい状態にある証。そう考えれば、眉をひそめるような悪い話ではない。
そして、スター選手ではなくても、あえて足を運ぼうと思い立つ要素がオーストラリアン・オープンには備わっていた。この大会は世界の各ツアー(特定大会)に設けられた「全英オープンへの道」の第1弾、つまり「道」の起点となる大会だ。