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【舩越園子コラム】「もめた」義務試合数、欧州ツアーの解決の仕方

【舩越園子コラム】「もめた」義務試合数、欧州ツアーの解決の仕方

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2014年11月10日 12時35分

 このままでは欧州のスター選手が欧州から消えてしまう……。焦ったオグラディ氏がそこで取った行動が、義務試合数を「11」から「13」へ引き上げるというものだった。そして、侃侃諤諤の論議が巻き起こったのだが、その事態を受けたオグラディ氏のその後の対応が注目に値する。

 2006年のWGCマッチプレー選手権は米カリフォルニア州のラコスタが会場だったのだが、オグラディ氏は欧州から米国へ自ら飛んで試合会場へ足を運び、欧州選手20数名を集めて緊急ミーティングを開いたのだ。選手たちと正面から向き合い、忌憚なき意見に耳を傾け、要望や本音を採り入れることで、彼らが少しでも多く母国のツアーに出てくれるよう、出やすくなるよう、出たいと思うよう、欧州ツアーの改革を行なうことがミーティングの目的だったそうだ。

 そのミーティング以後、欧州選手たちの間で、「オグラディ氏は尊敬に値する会長」と敬われ、「欧州ツアーは自分たちが出場し、戦うに値する素晴らしいツアー」という認識がしっかり定着したと言われている。

 それから数年後、欧州ツアーのレース・トゥ・ドバイには、いくつかのチェンジが加えられ、現在も毎年のようにマイナーチェンジが施されている。米ツアーのフェデックスカップ・プレーオフと同様に約5億円のボーナスプールを分け合うファイナルシリーズ4戦も創設された。HSBCチャンピオンズは、そのファイナルシリーズの第2戦だった。

 米ツアーのプレーオフシリーズ終了後は欧州選手たちが欧州ツアーに戻り、母国のツアーの盛り上げ役という役割を進んで果たすようになっている。昨今は欧州ツアーの開催地そのものが欧州以外の南アや中東、そしてアジアへと以前にも増して広がっている。だが、「そもそも欧州はたくさんの異なる国の集まりで、欧州ツアー開催地は外国ばかりだから、どこへ広がろうと苦にならない。自分は欧州ツアー選手でも米ツアー選手でもなく、ワールドプレーヤーだから」とは、イアン・ポールターの言。

 欧州ツアーはそうやって生き残り、成長を続けている。すべてはオグラディ氏の会長としての勇気と努力のたまもの。そして、ツアー側と選手側が互いに謙虚に耳を傾け、互いに誠意を尽くすことで、コトがうまく進んでいった成功例。そこには、日本のゴルフ界の範となる秘策が山ほど詰まっているはずだ。

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