松山も初優勝という栄光以後が「もどかしい」と唇を噛んだ。「結果だけ見れば満足のシーズンかもしれないけど、そのあとはトップ10は1回もない。そんな終わり方では満足できない。体の状態が良くなかったころは上位に入れていたのに、体の状態がいい今、上位に入れないのは何でなんだろう?」
「7連戦やっても元気でモチベーションも低くなかったし、やってやろうという気持ちは強かったけど、技術が伴わなかった」。それは、なぜなのか?「ケガの影響があって、知らぬ間にかばって打っていたのかも。でもケガが治ってきてもその動きが入っているのが、すごくショック。その動きを直そうとしても、うまくいかない」。それは、なぜなのか?そうやって「なぜ?」が重なっていき、松山も負のプチ・スパイラルに陥った。
だが、どちらもすでに出口を見つけかけている。マキロイはゴルフクラブを視界から遮って数日を過ごしたら「気持ちを切り替え、ライダーカップに挑む」つもりだという。松山はスイングやフィーリングを「戻すことが一番大事。いい課題だと思う。それをやらずして、求めてばかりだと、もっと悪い方向へ行く」と、対症療法ではなく根治を心に誓っている。
優勝したビリー・ホーシェルは、マキロイや松山とは対照的に、何もかもがいい方向へ作用する究極の正の連鎖の中で好成績を挙げていった。プレーオフ第2戦で2位、第3戦で優勝。さらには最終戦も優勝し、総合優勝も手に入れた。
第2戦で惜敗したときのミスショットが「臆病者」とSNSで批判され、その批判の嵐の中で迎えた第3戦の72ホール目ではティショットの直後にトイレに猛ダッシュする姿を世界に晒しながら優勝した。そして「僕がギャンブラーだったら、今の僕に少々のお金を賭けるね」なんて自信に溢れる言葉を口にしながら最終戦で勝利。紛れもないポジティブ連鎖を彼は自力で作り出し、そこに自ら身を置いてビッグな栄光を掴んだ。