そう、最後は精神戦、持久戦。技術力は大前提となる力であって、最後の最後の究極の場面でモノを言うのは、技術力ではなく精神力と持久力だ。
勝敗が決した23ホール目。デュビッソンのボールはグリーン右手前のラフに沈んでいたが、サボテンや石ころをモノともせずに打ち出して寄せるあのゴールデンハンドを持ってすれば、そのラフからピンに寄せることはできそうだった。デュビッソン自身、ゴールデンハンドでピンに寄せるつもりで攻めた。
だが、究極の場面でゴールデンハンドは、ついに狂った。ピッチ気味のショットは強すぎてピンを6メートルほどオーバー。
そのミス、そういうミスがデュビッソンから出るときを、デイはじっと待っていたのだ。デュビッソンが寄せ損なうと、デイは冷静に80センチへ寄せ、バーディーパットを沈めて勝利を掴んだ。
「長い一日だった。どれだけ勝ちたいと思ったか、どれほど勝ちたかったか……」