松山の返答は、なかなか意外なものだった。
「みんなはムービングデーって言うけど、自分にとっては初日も2日目も3日目も一緒だと思う。最終日だけは優勝争いをするところ(日)だと思っている」
なるほどね。3日目を特別意識することなく3日間を同列に考え、最終日だけは別格に据える。最終日の終盤で優勝のチャンスがあれば勝負に出る。それが、現在の松山流の考え方で、彼はそうやって実際に勝ってきた。
一方、米ツアー選手の多くはムービングデーと呼ばれる3日目を強く意識する。予選2日間を終えたら、3日目にどこまでどれほどムーブアップすれば最終日に優勝争いができるか、勝利をつかめるかと考える。つまり、3日目は「予選2日間」と「最終日」をつなげる橋のようなもので、その橋を跳躍台にすることができるか、それとも滑り台にしてしまうか。それが「3日目なりの勝負」と考える。
どっちがいいかは、わからない。いいとか、悪いとか、そういう尺度や判断は当てはまらないのかもしれない。が、選手一人一人に個性や流儀があるように、4日間の1日1日にもそれぞれの存在意義があるとは思う。3日目の存在意義を突き詰めていくと、その意義に合わせた3日目のゴルフというものの存在も見えてくるのではないか。そう思える。