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【舩越園子コラム】“嵐”に勝ったジミー・ウォーカー

【舩越園子コラム】“嵐”に勝ったジミー・ウォーカー

配信日時:2014年2月10日 11時20分

 だから、コースだけを相手に黙々と戦った。その姿勢、その視線の向け方が、ウォーカーの集中力を高める役割を果たしていたのだろう。他選手たちがスコアを落としていく中で、ウォーカーはスコアを伸ばし、2位との差をぐいぐい広げて、ついには6打差へ。

 「こんな大差で最終日を迎えるなんて初めてだ。ただただ、グッドショットを打つことを心がける。グッドゴルフをしていれば、結果は自ずとついてくる」3日目の夜、ウォーカーは、そう言った。

 だが、2位と大差をつけていようとも、優勝の二文字が意識の中に「ある」と「ない」とでは、プレーぶりはまるで異なってくる。「ただただグッドショットを打つ」という、トッププロたちにとっては当たり前のことができなくなる。

 いやいや、大差をつけて最終日を迎え、勝って当然と言われる立場に立っていたからこそ、崩れ始めたときに「まさかの逆転負け」という最悪のシナリオが頭をよぎり、彼の心は大きく揺れた。

 10番、12番、13番。続けざまのボギーで2位との差は縮まっていき、上がり3ホールにさしかかったとき2位とは2打差。3パットした17番(パー3)のボギーで、ついには1打差へ。それでも18番(パー5)をパーで上がれば優勝できる。ティに立ったウォーカーは、あえてアイアンを握ったにも関わらず、打ち出した球はへなへなと右へ曲がり、フェアウエイバンカー際の深いラフの中に沈んだ。

 ボロボロだった。下向き加減に歩くウォーカーの姿は、試練にさらされ、試され、どうにか耐え忍んでいる苦しい姿だった。

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