そのとき、松山自身も「スタートホールからパターがおかしかった」と感じていたという。「途中で調整できたかなと思ったけど、できなかった。それが、ここ一番のチャンスでうまく打てなかった(原因だった)。思い通りに打ったと思ったものが入らなかったりしてストレスが溜まった」。
この日、ショットは決して悪くなかった。グリーンを外したホールでは、小技で補い、パーを拾った。「でも勝てなかった。結果として勝てなかったです。勝てないのは勝てないなりの理由がある、それを突き詰めていかないと勝てない」
勝てないなりの理由――最終的に松山の初優勝を阻止してしまったのは、彼が日頃から最大の武器としているパットだった。「パターは徐々に悪くなっていった。最後の方で入らなかったのは、自信を持てなかった証拠。14番、15番で取れなかったのが16番のグリーン(ボギー)につながった。17番もチャンスを逃した。チャンスで入らなかった」
それが「今日の自分」であり、「今の実力」であると松山は厳しく分析した。だが、出だしの違和感によって崩れることなく踏みとどまり、攻勢に転じるタイミングを虎視眈々と狙った「今日の松山」の成長は頼もしい。
3位になった今季開幕戦のフライズコム・オープン最終日は好スタートを切りながらラウンド半ばのボギーで失速し、「最後まで勢いを続けられなかったのはすごく残念」と唇を噛んだ。が、あれからわずか4試合目の今大会は、スタートでやや躓いても耐え忍び、上を行く選手に着実に近づく展開を見せた。それは松山が初優勝に着実に近づいた証。