松山英樹、4位タイで米ツアー初Vならず「悔しさのほうが強い」
その様子を見たとき、ふと思った。これが、とても大事なパットになる。この日の行方を占う大事な一打になる。だから、息を殺しながら、この日の彼のファーストパットを見守った。
このパットをそれほどまでに凝視したのは、たぶん12年マスターズ最終日が想起されたからだ。なぜ、あのマスターズを思い出したかは、自分でもよくわからない。あのとき優勝したバッバ・ワトソンがこの日も首位にいたせいか、それとも出だしのパットがあのマスターズもこの日もほぼ同じ1.5メートルの距離だったせいか。
ともあれ、あのオーガスタの1番であのパーパットを外したとき、松山は「あれっ?」という違和感を感じ、自分のパットの何かがおかしいという感覚が、彼のその後のアプローチの感覚を狂わせ、ショットの感覚を狂わせ、すべての流れが乱れに乱れて「80」を叩き、悔し涙を流した。
あれから歳月が流れ、プロになり、日本で優勝の味を知り、そして米ツアー選手になって今季に挑んでいる松山だ。たとえ今日、ファーストパットに違和感を感じたとしても、もはやあのときのように崩れることはないだろうとは思った。だが、大事なラウンド、大事な最終日のスタートホールのパットの意味合いは、以前も今も変わらないはず。そう思えたからこそ、今日の彼のファーストパットをドキドキしながら見つめていた。