米ツアーを目指す世界の若い選手だったら、せっかく得たトップ10による次週、次々週の出場資格を無駄にすることは、まずない。もっとも、35歳の谷原はもはや若いとは言わないのだろうし、谷原には谷原の考えや価値観や事情、都合があるはずだから、それをとやかく言う権利は誰にもない。
けれど、かつて、それこそ若かったころ、フロリダまでやってきて自主的に練習を積み、一度は米ツアー選手として世界に挑み、全英オープンでも優勝を意識しながらプレーするほどの活躍をした谷原が、せっかく自力で掴み取った米ツアーの大会出場の権利を活用しないと決めたら、それは何とも残念だ。
優勝したウォーカーは谷原と同世代の34歳。今でこそ米ツアー2勝のチャンピオンになったが、つい2か月前まで、彼が味わった勝利は下部ツアーでの勝利しかなく、プロ転向から13年間、陽の当たらない道を歩んできた。そんな日々は、まさに「言うは易し、行うは難し」だったのだろう。
そういう選手が米ツアーとその周辺には無数に控えている。ソニーオープンに出たくても出られなかった選手も山ほどいた中で、その貴重な出場枠を分け与えられたのが推薦出場した日本人選手たちだ。
もちろん、谷原のファーマーズ出場資格は「分け与えられた」ものではなく、彼が自力で「掴み取った」ものだが、そのトップ10に入りたくて入れなかった選手たちも何人もいる。20位だった今田竜二も、その一人。