松山自身は技術面の原因こそがすべてだと感じていた。「ショットがあそこまで悪いと何やっても……」「アプローチも全然足りない」。3日目は悪天候による悪コンディションも一因になっていた。が、本人も気づかぬうちに「勝利への意識」が悪戯をしていた可能性は高い。
米ツアーに漂う勝利のオーラは格別だ。そのオーラにどこまで影響されずにいられるかがカギになる。日本では「いい意味で鈍感」なんて呼ばれた松山だが、米ツアーでは、上位に行けば行くほど、勝利に近づけば近づくほど、もっともっと鈍感になることが必要なのだろう。精神面は図太く、技術面は繊細に。松山のそんな変貌変化は、今、すでに始まりつつある。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)