M・クーチャーが逃げ切りV!石川遼は57位タイで終戦
「ウイニングパットを沈めた瞬間、ついにこのメモリアルを制したと思った。いい気分だった」。優勝会見では興奮冷めやらぬ様子で、そう語ったクーチャー。だが、彼は日頃は穏やかで、何でも受け入れる謙虚な人柄だ。それが彼の強さの礎になっている。
単独首位で3日目を終えたとき、クーチャーは自らの強さを「楽に飛距離が出るところ」と語っていた。もちろん、飛距離はビッグアドバンテージになる。けれど、もっと大きなモノを言うのは積み重ねてきた経験と、その経験を経たことで身に付いた心の強さだ。
ジョージア工科大学の1年生で全米アマを制し、その資格で翌年のマスターズや全米オープンに出場し、大活躍してスーパースターへ。スポットライトを浴びる世界を知りながら、彼はプロ転向をあえて遅らせ、大学卒業と就職の道を選んだ。
社会人を少しばかり経験後、ようやくプロ転向。早々に02年のホンダクラシックで初優勝を挙げたが、その後はスランプに陥り、二軍落ちも経験した。だが、クーチャーの凄さは、期せずして到来した「冬の時代」を受け入れることができる寛容性だ。