<JLPGAファイナルQT 3日目◇4日◇宍戸ヒルズカントリークラブ 東コース(茨城県)◇6418ヤード・パー72>
吉報を届けたい。ファーストQT(C地区)を12位で突破し、ファイナルQTに臨んでいる金田久美子が、3日目に6バーディ・1ボギーの「67」と伸ばした。68位からトータル5アンダー・16位タイにジャンプアップ。来季前半戦のフル出場が見込まれるボーダーライン(35位付近)圏内で最終日を迎える。
初日はボギー、ダボフィニッシュで「72」。2日目は「なんとなく耐えて」のイーブンパーだった。「私は本当は伸ばし合いが苦手。でも、ガマンしていればバーディもくるはず」。そうして迎えた3日目は、ここまで「ぐっちゃぐちゃだった」という内容が一転してかみ合った。
「なんでですかね? 風が強かったから体幹を意識して回れたのかも。そういうときは自然と、体幹に力が入る気がします」。風が出始めた前半17番からショットが冴え、3メートル以内につけ続けて4連続バーディ。一気に圏内へと駆け上がった。
好ラウンドを振り返りながら、すでに目を潤ませ、言葉を詰まらせた。11月24日、自身のインスタグラムで父・弘吉さんの死去を報告。実際に亡くなったのは10月7日で、四十九日を終えての公表だった。
投稿では『強く、愛情深く、豪快でかっこよくて、めちゃくちゃなパパ。パパに何があっても試合に出てくれって、最後の最後まで言っていました。家族の協力のもと、その想いを守れています。あの日から全然前に進めていなくて、情けない自分を責めたくなるけど、愛情をたくさんもらった分、悲しみは大きいのかな。と』(一部抜粋)とつづっていた。
「私は自分に厳しいんですけど、よくゴルフができているなって思うくらい、それくらい悲しい出来事でした。パパがいなかったらゴルフを辞めるとか、何かあったら自分のゴルフどころではなくなると思っていた。でも、お父さんのために…。とにかく自分を保つことで精一杯です」
『一区切りの日になり、一歩踏み出せれば』と投稿に踏み切ったが、気持ちはまだ追いつかない。いまでも毎日、涙が流れる。「まだ実感がないです。きっとたぶん、そばにいてくれている感覚にもなれると思うけれど、気持ち的にまだそこまでいけていなくて…。これからそう感じられる時が来るまで、精一杯、頑張ろうと思います」。
60台をマークして、ボーダーラインに3打のリード。「とにかく一生懸命、あしたも頑張りたいと思います」。第一線で活躍している姿を亡き父に届けるためにも、娘は最後まで力を振り絞る。(文・笠井あかり)
