25日、千葉県にある新君津ベルグリーンCCで、女子プロゴルファーと障害者ゴルファーによるお互いにとって貴重な時間となる交流があった。同地では翌26日(月)から2日間の日程で、日本一の障害者ゴルファーを決める「日本障害者オープンゴルフ選手権」が開催される。その前日にプロアマ形式の練習ラウンドが行われた。
このラウンドにはツアー通算2勝の堀奈津佳や、佐藤千紘、星野杏奈の3人が参加。それぞれが出場選手3人で構成された組に入り、9ホールをプレーした。これは3人のプロが契約を結ぶブリヂストンが、同大会期間中にイベントを行うなど、障害者ゴルフの盛り上げに尽力していることが縁になっている。
朝の練習場から、プロが選手たちにアドバイスをおくる場面が見られたが、ラウンド中も含め笑顔が絶えない、和やかな一日が過ぎていった。堀は「楽しかった」と何度も繰り返したが、その言葉に自然とうなずける、そんな光景だ。
プロ13年目の佐藤は「私たちより飛ばないなどハンディキャップはもちろんあるんですけど、ゴルフが好きという気持ちがあれば一緒に楽しい時間が過ごせる。それを感じることができたのが、プロゴルファーとしての大きな収穫でした」と笑みを浮かべる。佐藤は明大ゴルフ部時代に、障害者ゴルフの大会にボランティアとして参加したことがあり、その際にどういう点を手助けすべきかという心得を学んだ。「あれから10何年が経過して、またこういうご縁をいただけて、学びが生きたことがうれしいですね」と感慨も深い。
義足の選手、片手でクラブを振る選手、車いすに乗ってショットを打つ選手など、抱える障害はさまざまだが、そんなハンデを感じさせないプレーが繰り広げられる。プロ5年目の星野も、「本当にびっくりしました。みなさん自分で考えて、いろいろな工夫をしていました」と、目の前で放たれる鋭いショットの数々に驚かされた。それは「みんなで一緒に楽しく過ごせるのはゴルフの魅力」ということを、再確認できる時間でもあった。
もちろん、あすから大会を迎える選手たちにとっても貴重な経験となる。堀と回った元木健二さん(右下腿切断)は「球筋も全然違うし、アドバイスも普段、自分では気づけないことを見抜かれて、そこがプロは違うと感じさせる部分でした」と感想を話す。これまで男子プロとのプレー経験はあるが、女子プロとは初めて。「飛距離とかは女子プロの方が似ているので、残る距離とかも同じくらい。そこからの攻め方とかは勉強になりました」と、あすからの本番にも生かせそうだ。
また、星野とプレーした田村和久さん(右腕切断)は、「こういう機会をいただけて、非常に感謝しています。プロと回ることはなかなかないので参考になりました」と話す。この日は強風のなかでのラウンドになったが、「アマチュアはどうしても風が強いと力が入って曲がってしまう。プロは常にリズムが同じ。そこは見習いたい」ということを体感。「機械のようでした」というプロのスイングリズムを目の当たりにしたことは今後の財産になる。
何かを学び、持ち帰ることができるのはプロも同じ。星野は、田村さんにスイング時に大事になる左手の意識について“逆質問”したという。「どうしても右手が悪さをすることがあるので、左手でさらっと打つための意識を聞きました。左足側にボールを置いているとかを教わって、すごい学びになりました」。佐藤は、「みなさんゴルフに対して常に前向き。“やばい!”と思ったショットでも、『コースの中にあればいいよね~』って言われて、なるほど~って。広い心で楽しんでるなって思いました」というのが重要な気づきになった。
ブリヂストンは、2022年から2年間行われた国内男子ツアー「ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント」のプロアマで、障害者ゴルファーたちがプレーする姿を見て、その姿勢に感銘を受けた。そこで24年から、日本障害者オープンゴルフ選手権の会場でクラブフィッティングなどのイベントを行い、障害者ゴルフの発展をサポートしてきた。今年はこのプロアマを企画。そしてあすも会場で、参加者のスイングの特徴の分析などを行う『ブリヂストンゴルファーズドック』や、『ワンポイントレッスン会』を行い、参加選手の力になっていく。
「球のさばき方も上手な方が多くて、私がアドバイスすることはそんなになかった」と謙遜する堀は、「普段、参加しているプロアマと変わる部分はなかったです」とサラリ。「プロアマでプロよりもいい球を打つ方がいる時があるんですけど、そういう部分も同じでした。“私より飛んでるじゃん!”っていうことは、きょうもありましたね」と笑う。障害の有無にかかわらず、同じルール、同じコースで、同じ時間を過ごせる“ゴルフの魅力”を見る者に強く訴える光景でもあった。(文・間宮輝憲)
