<JLPGAファイナルQT 初日◇2日◇宍戸ヒルズカントリークラブ 東コース(茨城県)◇6418ヤード・パー72>
うれしい一発が大事な場面で飛び出した。来季の出場権をかけて争うQTで、今年のプロテストを突破した19歳・藤本愛菜がホールインワンを達成。順位も一気に上がり、5アンダー・4位タイで初日を滑り出した。
完ぺきな一打の直前には、実は悔しい出来事があった。3つ伸ばして折り返した直後の10番、50センチを外してボギーを喫した。「いい流れできてボギー。悪いまま次のホールにいったらホールイワンしちゃった(笑)。ラッキーでした」。11番、5番ユーティリティでの「ちゃんと芯を食った。ベタピンかな」と見送った球が、グリーンに行ってみたら見当たらない。カップに入っていた。
19歳にとって人生2回目の快挙。初めては2年前、高校2年生時に出場した「大王製紙エリエールレディス」でのこと。ツアー史上2番目の年少記録(16歳266日)での達成だった。QTでのホールインワン達成は、葛城ゴルフ倶楽部宇刈コースで行われた昨年2日目の入谷響以来だ。
2度目の挑戦となった今年の最終プロテストに合格。ファーストQT(A地区)は2位で通過した。このファイナルではコーチである辻村明志氏にバッグを預ける二人三脚。「とりあえず楽しんでやることを目標にして、スコアがついてくれればいいなという感じでプレーしていました。スイングとかは意識していなくて、目の前のボールをどう打つかで精一杯です」。コーチからの声掛けにも助けられながら、しっかりと好位置につけた。
辻村氏には2年前から師事している。同じ福岡出身で、持ち球がドローであることもあって、知り合いに紹介をしてもらった。“先輩”には上田桃子がいる。後ろの打席で練習したり、一緒に練習ラウンドをしたり、尊敬の気持ちしかない。「合格の時に言葉をかけてもらいました。ゴルフに取り組む姿勢がすごい。追いつきたいです。追いつけないんですけど、近づきたいです」。
最終ホールは2メートルのパーパットを沈め、1イーグル・4バーディ・1ボギーの「67」。「緊張もしていないです」としっかりと地に足をつけて18ホールを回っている。「自分のプレーを精一杯やるだけで、順位は見ていないです。やるだけやって、ダメだったらしょうがないと割り切っています」。持ち味はアイアンショットで、この日パーオンを外したのは18番だけ。自分のプレーに徹すれば、尊敬する先輩が活躍した舞台に立つことができるはずだ。(文・笠井あかり)
