ベストを尽くして天命を待ち、全英女子勝者へ【舩越園子コラム】

だが、表彰式でマイクの前に立ったノルドクビストは「勝てなかったこの4年間のハードワークが、ようやく報われた」と安堵の表情を見せ、復活優勝の喜びをしみじみ噛み締めていた。

スウェーデンで生まれ育ったノルドクビストは、米国の名門、アリゾナ州立大学へ進み、卒業後の2008年にプロ転向。翌年から米女子ツアー（LPGA）参戦を開始し、早々にマクドナルドLPGAチャンピオンシップを制して、初優勝がメジャー優勝になった。

その年の秋に最終戦のLPGAツアー選手権で2勝目を挙げると、2014年に年間2勝、2015年と2016年にも各1勝、そして2017年には、春先に7勝目を挙げた後、9月のエビアン選手権でメジャー2勝目を飾ったが、以後は、勝利から遠ざかってきた。

何かを変えれば調子が上向くだろうかと考え、あれこれクラブを持ち替えてみたり、メンタル面が弱いせいで勝てないのだろうかと考え、メンタルコーチを付けたり、そのメンタルコーチにバッグを担いでもらったり。そうやって試行錯誤を繰り返したが、なかなか効果は得られなかった。

フラストレーションが募ったノルドクビストは、2018年シーズン終盤、試合を休み、10年来の恋人だったケビン・マカルパインとスキー旅行へ出かけた際にプロポーズされて婚約。そして昨年、コロナ禍の中で結婚し、恋人から夫に変わったマカルパインが、以後は彼女の心の支えになってきた。

マカルパインはスコットランド出身で、スコティッシュ・アマチュアで優勝した実績がある。2017年の春から約1年間は米女子選手のレキシー・トンプソンのキャディを務めていたが、現在はプレーヤーとして試合に挑みつつ、ノルドクビストをサポートしている。