国内女子ツアー通算10勝など、これまでも成功はあった。だが、常に失敗から学んだことが糧となっているという。だから今の状況も、「すべてがいい経験」ととらえている。そして、教えるジュニアたちに「お手本になることを見せていきたい」のだと話す。自らが挑戦し続けることで、ジュニアたちが「こんなことができるんだ」と思えば、藤井という存在が近くなる。そこに意味があるのだという。
「オリンピックの女子のスケートボード競技は見ましたか? 若い世代の活躍がスゴかったですよね。若いって錆びていないんです。自分を疑っていない。疑ってしまえば、自分の夢よりもできる現実は減ってしまう。可能性を減らしてパフォーマンスを落としてしまうんです」
■東京五輪スケートボードで、4位の選手のチャレンジを讃える姿に感動
東京五輪スケートボード女子パークで金メダルを獲った四十住さくら選手(よそずみ・さくら 19歳)の『540(ファイブフォーティー)』という空中で体を1回転半させる大技はスゴかった。銀メダルの開心那選手(ひらき・ここな 12歳)の滑りも見事だった。
でも、その二人以上に目を引いたのは、4位に甘んじた岡本碧優選手(おかもと・みすぐ 15歳)のチャレンジだった、と藤井はいう。世界ランキング1位の岡本選手は予選トップで決勝に進出。だが、決勝で2本の演技に失敗。最後の3本目も難度の高い技に挑戦したが、そこでも落車してメダルを逃した。
