白熱のシーズンが終わった国内女子ツアー。今季全36試合を振り返り、大会ごとに印象に残った“1シーン”を紹介する。
■明治安田レディス(7月17~20日、宮城県・仙台クラシックゴルフ倶楽部、優勝:小祝さくら)
クマ出没によりプロアマおよび初日が中止。異例の形で始まった2025年の「明治安田レディス」で、小祝さくらはまたひとつ“当たり前ではない優勝”を積み重ねた。
大会は一時、開催そのものが危ぶまれた。コース周辺でクマの目撃情報が相次ぎ、初日は中止。安全確保と調整を重ね、3日間競技として再開された。そのなかで小祝は、10位からの逆転で今季初優勝をつかみ、7年連続優勝という継続記録を更新した。
優勝が決まった瞬間、小祝は18番グリーンではなくクラブハウスの階段にいた。ホールアウト後、40分以上が経過して届いた知らせ。遮る木々で状況は見えず、大会関係者からの一言で勝利を知った。
「トップ10にはたくさん入っていたけど、なかなか勝てなかった。本当にうれしい」
出場16試合で10度のトップ10。安定感はあったが、噛み合わない試合が続いていた。そんな流れを断ち切ったのが、混戦の最終日だった。トップが何人も入れ替わる展開のなか、勝負を決めたのは16番パー5。グリーン左奥からの3打目を沈め、値千金のイーグル。再び首位に立ち、そのまま逃げ切った。
ただ、勝利は万全の状態でのものではない。2週前には右手を痛め、今大会では初日に左手首も負傷。「急に痛くなった」という違和感を抱えながらのプレーだった。それでも「伸ばさないと」という意識を切らさず、結果を引き寄せた。
クマの出没という予期せぬ出来事から始まった大会で、小祝は変わらず結果を残した。2025年、その強さを象徴する一週間だった。
