日本女子ゴルフ界の礎を築いた樋口久子は高校卒業後の18歳でゴルフを始め、岡本綾子はソフトボールの実業団チームで活躍後、21歳からゴルフを始めた。1980、90年代に活躍した選手のほとんどは、高校まで別の競技をやっていて高校卒業後に研修生となり、プロゴルファーになっていた。20年ほど前も研修生を経てシード権を獲得した選手も少なくはなかった。

しかし、昨今はジュニア時代にゴルフを始め、高校卒業とともにプロの世界に飛び込む。今季の前半戦の出場権を持つ100人（西村優菜は公式記録に記していないので除く）のゴルフを始めた年齢を見ると、最も早いのは3歳で古江彩佳、佐久間朱莉、東浩子の3人。最も遅いのが全美貞（韓国）の15歳。次いで藤田さいき、イ・ナリ（韓国）、沖せいらの14歳。99人の平均は8.81歳だった。小学3、4年生からクラブを握り始めていることになる。

ゴルフを始めた年齢の内訳を見ると、最も多いのは10歳の23人（シード選手は13人）。稲見萌寧、原英莉花、高橋彩華、渡邉彩香らがいる。次いで多いのが8歳の19人（シード選手は12人）。小祝さくら、勝みなみ、大里桃子、渋野日向子ら1998年度生まれの黄金世代の選手を中心に20代前半の選手が多い。その次は、鈴木愛や永峰咲希、比嘉真美子ら11歳の14人（シード選手は9人）となっている。

渋野や勝ら黄金世代は宮里藍の背中を見てゴルフを始めた、いわゆる“宮里藍チルドレン”と呼ばれる。黄金世代が8歳の頃は、2006年。宮里藍が03年にアマチュア優勝を遂げ、プロ転向後、04年から不動裕理と2年連続賞金女王争いをして“藍ちゃんフィーバー”が起こった。そして米国女子ツアーに主戦場を移したのが06年である。

黄金世代を中心に、宮里が出現して、女子ゴルフに注目が集まるようになったタイミングでゴルフを始めた選手が、今の中心選手といえる。

2000年度生まれのいわゆるプラチナ世代で、昨季ルーキーながら2勝を挙げた吉田優利は、10歳でゴルフを始めたが、「私は始めたのは遅い」という。同じプラチナ世代の古江は3歳、安田祐香は7歳と確かに吉田より早い。

25歳以下の選手は43人いるが、その中でゴルフを始めたのが最も遅いのは石井理緒と吉川桃の11歳。その次に吉田や稲見らの10歳で8人いる。残りの33人は一桁の年齢でボールを転がし始めている。小学校低学年、あるいは小学校入学前に始めるのがスタンダードになっているようだ。

タイガー・ウッズ（米国）は生後9カ月でゴルフを始めたといわれている。国内女子ツアーで20歳前後の選手が活躍するのは、ゴルフを始める年齢の若年化が関係してそうだ。

3歳：※古江彩佳、佐久間朱莉、東浩子（3人）
4歳：※植竹希望、小倉彩愛、桑木志帆、後藤未有、松森彩夏（5人）
5歳：※西郷真央、※山下美夢有、※菅沼菜々、河本結（4人）
6歳：※菊地絵理香、淺井咲希、林菜乃子、永嶋花音、内田ことこ（5人）
7歳：※青木瀬令奈、※堀琴音、※柏原明日架、大出瑞月、佐藤心結、安田祐香、上野菜々子（7人）
8歳：※小祝さくら、※勝みなみ、※大里桃子、※笹生優花、※渋野日向子、※金澤志奈、※酒井美紀、※岡山絵里、※濱田茉優、※田辺ひかり、※山路晶、※宮里美香、リ・ハナ、石川明日香、大城さつき、横峯さくら、岸部桃子、高木萌衣、天本ハルカ（19人）
9歳：※上田桃子、※笠りつ子、※森田遥、※臼井麗香、大西葵、ささきしょうこ、小野祐夢、新垣比菜、竹内美雪、吉本ひかる（10人）
10歳：※稲見萌寧、※原英莉花、※高橋彩華、※渡邉彩香、※三ヶ島かな、※吉田優利、※イ・ミニョン、※木村彩子、※サイ・ペイイン、※野澤真央、※仲宗根澄香、※大山志保、※有村智恵、鶴岡果恋、下川めぐみ、川岸史果、木下彩、西木裕紀子、阿部未悠、岩橋里衣、葭葉ルミ、竹山佳林、藤本麻子（23人）
11歳：※申ジエ、※ぺ・ソンウ、※鈴木愛、※永峰咲希、※比嘉真美子、※穴井詩、※若林舞衣子、※ユン・チェヨン、※テレサ・ルー、黄アルム、福田真未、石井理緒、吉川桃、川満陽香理（14人）
12歳：※李知姫、イ・ボミ、福山恵梨、工藤遥加（4人）
13歳：アン・ソンジュ（1人）
14歳：※藤田さいき、※イ・ナリ、沖せいら（3人）
15歳：※全美貞（1人）

※は前年の賞金ランキングおよびメルセデスランキング上位50位で通年の出場資格を持つシード選手