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「やっと解放された、いまは試合が楽しすぎます」ルーキーの肖像〜脇元華

近年稀に見るスコアの伸ばし合いとなった2018年LPGAプロテスト。難関を突破した21名の個性をそれぞれ紹介する(取材/高桑均、標英俊)

配信日時:2018年11月27日 20時00分

⇒脇元華プロフィール
⇒2018年最終プロテスト合格者一覧

小学2年生でゴルフを始めた脇元華が、プロを明確に意識したのは中学3年に上がる直前の2月だった。父とともにタイでおこなわれたジュニアゴルフ合宿に参加したが、現地で同時期に開催されていた米国女子ツアー「ホンダLPGAタイランド」を観戦。

「初めて海外の選手をみたときに、ヤニ・ツェンであったり、トップの選手たちはキラキラしていて…そのとき父に“私はここで戦いたいから頑張る”っていったんです。刺激を受けて帰ってからは練習量が変わりました。それまでは週2〜3回でしたが、毎日練習するようになり、球数も増えました」。

宮崎日大高校時代は「全国大会に出場できても最高で10位台くらい」と目立った成績は残せなかった。だが高校卒業後はアプローチやパターなどの練習量を増やし、技術的にも自信的を深めていく。だが迎えたプロテスト初年度は、最終テストに進出するも、食中毒に見舞われ最終日に「79」の大たたき。2度目となる2017年も2打足りず、涙を飲んだ。この年はさらなる悲劇が…。「エントリーミスでした」とQTにも出場できなかったのだ。

自己責任とはいえ、気落ちする状況。だが「試合が欲しかったので、がむしゃらに受けにいった」と海外へ活路を見いだし、欧州女子ツアーや台湾女子ツアーのQTを受験。台湾ではトップ通過を果たした。

迎えた2018年。台湾女子ツアーでは5月の「サンポレディスオープン」でプロとして初優勝を挙げる。ただ「いままでやってきたことが結びついてきたと思いますが、日本ではまだ、ちゃんとしたプロではない。気を抜くことはなかったです」と、3度目のプロテストには並々ならぬ意気込みを持っていた。

「今年の最終プロテスト前は、いままで受けるテストで一番緊張していた。これまでの分もある。怪我をするわけにはいかないので、運転にも気をつけたりして…1週間前からすごくストレスを感じて、生きている心地がしなかったです。来年からQT制度が変わりますし、もう3回目。いろいろな意味で“絶対通らなきゃ!”っていい聞かせていたから」。
プロテスト合格翌日のLPGA入会式にて

プロテスト合格翌日のLPGA入会式にて

その意気込みはプラスに転じ、3日目に「66」をマークするなど、4日間連続アンダーパーでトータル13アンダー・8位タイ合格。最終日翌日のLPGA入会式では「やっとスタートラインに立てました」と表情からは充実感とともに、大きな安心感もうかがえた。

合格後の初試合となったのは「NEC軽井沢72ゴルフ」。結果は予選落ちとなったものの、「プロテストまでは守りの意識が強く、攻めるゴルフができなかった。だから(LPGA会員)デビュー戦は全力で楽しもうと。初日はアウトスタートの第一組で打順は一人目。始球式みたいな、感じでしたが、朝のコールで名前を呼ばれて、合格の実感がわいてきて…ニコニコしながらティショットを打っていたと思います(笑)」。その後のレギュラーツアー2試合ではそれぞれ予選通過。ステップ・アップ・ツアーでも4試合中3試合でトップ5と、いきいきとした姿を見せていた。

174センチの長身だが、まだまだ自分のポテンシャルを発揮できている実感はない。「いまは、あまりプレーの特徴がないんです。特別に飛ぶわけでもない。体格に恵まれている分、それをいかせるようなスイングをこれから作っていく予定です。飛距離も技術もまだまだ足りない」とプレー面の課題は多いが、プロとして目指す姿勢を固めている。

「ゴルフがすごく好きなんです。お客さんが楽しんでもらえるようなプレースタイルを心がけるようになっていますし、いまはまだまだ練習が必要な私ですが、楽しんでいる姿を見てもらいたい。共感してもらえるような“表現力”はプロゴルファーとして大切にしたいです。いままでも、そしてこれからも応援してくださる方のおかげで頑張れるので」

国内で認められ、いつかはプロを目指すキッカケとなった米国へ。リスタートの気持ちで一歩一歩階段をのぼる。

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