白熱のシーズンが終わった国内女子ツアー。今季全36試合を振り返り、大会ごとに印象に残った“1シーン”を紹介する。
■北海道meijiカップ(8月8~10日、北海道・札幌国際カントリークラブ 島松コース、優勝:河本結)
364日ぶりの歓喜だった。26歳(当時)の河本結が、昨年の「NEC軽井沢72ゴルフ」以来となるツアー通算3勝目を挙げた。
「“やったー!”という気持ちと、不思議な感じでした」
最終日の内容を振り返っても、圧倒的なゴルフだったわけではない。「バーディチャンスが少なかった。今季一番少なかったと思う」。それでも、「できる限りのことをやった、その結果で勝った」と語るように、無理をせず、状況を受け入れながら積み重ねた一打一打が、最後に実を結んだ。
流れを一変させたのが後半15番パー4。フェアウェイ左サイドから157ヤードの2打目は、左風、左ピン、さらに木がかかる難しい状況だった。フェードヒッターの河本にとっては、「頑張って左に出さないといけない」一打。それでも6番アイアンで放ったボールは木の間を抜け、グリーン左手前に着弾した。傾斜を使って転がり、そのままカップへ消えた。
ギャラリーの大歓声でイーグルを知ると、河本は両手を挙げてジャンプし、キャディの小藪誠人氏と喜びを分かち合った。この一打で単独首位に浮上。ただ、その直後には気持ちを切り替えていた。
「すぐに“無”の状態に戻りました。とにかく『無、無、無』っていう状態でやっていた。何位になろうが、スコアがどうだろうが、相手は関係なく、一打一打に集中していました」
劇的なイーグルに象徴されるように、冷静に積み重ねた一打が、確かな自信へと変わった。より強く、よりたくましくなった河本がこれからも無心で勝利を引き寄せていく。
