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ネイルサロンに行く暇があるなら、練習場でボールを打っていたかった【森田理香子の過去・現在・未来】

ネイルサロンに行く暇があるなら、練習場でボールを打っていたかった【森田理香子の過去・現在・未来】

配信日時:2021年5月13日 11時44分

おしゃれをしたい年ごろではあったが、ほかの選手がネイルサロンに行っても興味を持つことはなかったという。そんな暇があるなら、練習場でボールを打っていたいという考え方だったからだ。

「ゴルフを教わっていた足立香澄さんから練習しないとダメだよといわれていたこともあり、昔から練習量は多かったと思います。ほかの人がやっていない時間に練習することで、その差を埋めるという考え方でした」

森田がさらに練習するようになった理由の一つに、岡本から紹介された実業団のソフトボールチームと一緒に練習したことが挙げられる。同じアスリートという立ち位置ではあるものの、明らかに体力面での差を見せつけられたのだ。「例えば、グラウンドをランニングしても3週ぐらい遅れるわけです。自分が何もできなかったことがとにかく屈辱的でした」。今でこそシーズン中もトレーニングに励むのは当たり前になっているが、当時はまだそれほどでもなかった。しかし、森田は徹底的に自分を追い込むようになり、寝る間を惜しんでも毎日トレーニングに取り組むようになった。

もちろん、技術的な練習も欠かさない。「朝から晩までボールを打っていたし、岡本さんの指示に従っていれば間違いないと、言われたとおりの練習をこなすだけでした」。当時の森田はいいスイングを身につけることが目標であり、そのためにはアドレスからすべてを変えていた。スイングをよくすることによって、ボールもイメージ通りに飛んでいくようになると考えていたのだ。それを証明するかのように13年はツアー4勝を挙げたが、「これだけ練習していれば、負けないよな」と思っていたという。ある意味、心技体すべてが充実していたからこその結果であった。

しかし、それでもまだ技術的には満足していない。ジュニア時代から海外の試合に出場していた森田だが、プロになってからも海外志向は少なからずあった。しかし、岡本からは、「フェードとドローを自由に操れないと海外では勝てないよ」と言われていた。当時の森田はドロー一辺倒であり、自由に操れるほどのフェードを打つ技術はまだ身につけていなかった。実際、海外のメジャーに出場してみると、痛いほど岡本が発したことばの意味を痛感させられた。ドローだけでは攻めきれないホールが少なくなかったからだ。

ただ、国内ツアーでは横峯さくらとの接戦を制して初の賞金女王のタイトルを獲得する。ついに日本一という目標を達成したわけだが、森田にとってはそのことが逆にツアープロ人生を縮めることになるとは、まだだれも予想していなかった。(文・山西英希)

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