■高橋彩華の現在… “短期決戦”への不安は大
では高橋は、今どのように過ごしているのか? 話を聞くと、やはり大きな不安とも戦いながら毎日を送っている。試合勘維持のためにコースに出ることもあるが、その際には「朝の7時30分くらいから、人がいない時間にラウンドをしています。スループレーで、ピンには触らず、マスクも着用しながらという感じです」と、できる限りの感染防止策をとりながらクラブを振る。さらに年初の合宿などで積み残した課題でもあるスイング改造にも着手。「上半身と下半身の捻転差をしっかりつける」という目標達成に向け、この延期期間を使っている。
「いい環境のなかゴルフができています」と、技術面に関しては明るい表情も見せるが、フィジカル面の強化ではモヤモヤが消えないという。「こういう状況でジムにも行けませんし、トレーナーさんが東京の方ということもあって、トレーニングが不足している気がします。メニューを組んでもらい、リモートで指導もしてもらいますが、『姿勢は合っているのか?』、『ポイントは押さえられているのか?』など細かい点が心配になってしまいます」。もっぱら、自宅での自重トレーニングで汗を流すが、力強いスイング、そしてシーズンを戦い抜く体づくりという面では物足りなさも感じている。
さらに、初シード選手として、こんな心配も頭をもたげる。「シードを守りたいというなかで、少ない試合数で出遅れたらどうしようというプレッシャーはあります。しっかりと照準を合わせられるか。今はそればかり考えてしまいますね」。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は、選手に対して現時点で17試合を行うことができればシーズンとして成立させるという意向を通達している。異例の“短期決戦”となれば、当然ながら1試合の重みは、これまで以上のものとなる。
ただ、なにも悪いことばかりではない。本来の開幕直前には手首を負傷。仮に3月の「ダイキンオーキッドレディス」が行われていたとしても、「欠場していたと思います」というほど、その状態は芳しくなかったという。通常通り開催されていても一時離脱していた可能性や、焦りから無理に試合に出て患部を悪化させるというケースも十分に考えられた。だが、試合がなくなり治療に専念できたことで、今ではすっかり痛みはひいた。

