いずれにしても、現在、第一線で活躍している選手たちのどれほどが、自分たちのツアーの成り立ちについてわかっているだろうか。ルーキーセミナーなどで一通りのことは教わるかもしれないが、それだけでは大した印象は残らない。樋口のように実績を残していればともかく、そうでなければ自分たちの基礎を築き、試合のない時代に組織を支えた先輩たちは、遠い存在に過ぎない。それでは、感謝も経緯も芽生えないだろう。
昭和30年代に、女性がプロゴルファーになることがどれほど大変だったか。それからどんな経緯を経て、今日があるのか。その過程から学ぶべきものは、一選手にとっても、組織にとってもたくさんあるはずだ。
ベン・ホーガンに例えられるほどの美しいスイングで知られ、メジャー13勝を含む通算82勝を誇るライトの死。それを悼むとともに、歴史に目を向けることの大切さが、伝わるといいのだが。(文・小川淳子)