一方で、今年40歳になりながらも「KKT杯バンテリンレディス」で勝利を飾った李知姫(韓国)は優勝会見で言った。「若い子たちはピンだけを見て攻めていく。それを見て“ここは攻めていっていいところなんだ”と学ぶことも多いです」。百戦錬磨のベテランですら驚くほど、今の若い子たちは攻撃的だ。ちなみに、この話は「私も若いときに先輩に『ここもピンを狙うの?』と言われたことがあったんですけどね(笑)」というオチがつくのだが。
この言葉に代表されるように、若手は“ピン位置なんて関係ない”と言わんばかりで攻める選手が多い。だからこそ、これまでのように「一日スコアを伸ばせない日があってもいい」なんて言うことはなくなった。3日間ないし4日間全て伸ばさなければ優勝はない。当然これはツアー全体のレベルアップだ。また、永峰が言うように、例えグリーンが軟らかくとも「攻められるだけのショットの精度が必要」ということもまた確か。これらのことをまとめた言葉が、プロコーチの辻村明志氏の「キャディとの“グリーンセンターでいいよ”という会話は一昔前のものになりつつあります」ということなのだろう。
今年女子ゴルフ界にセンセーショナルを巻き起こした渋野日向子はその代表格。大王製紙エリエールレディスが始まる前に、「ここ数試合、攻めの気持ちで頑張ると言っていた割には守りに入っていたのかもしれない。最初から思い切ってやらないとダメ。全英のときのようなプレーをしないといけない」と話し、ピンだけを攻めた。結果、前週の予選落ちからトータル19アンダーとバーディ合戦を制して優勝。賞金女王争いに望みをつないだ。
今回決まった50人のうち、初シード選手が13人というのは過去最高の人数ではない。だが、平均年齢は過去最年少の26.3歳となった。初シード獲得者の平均年齢は22.53歳。この数字は、グリーンの軟らかさによる影響は少なくないだろう。(文・秋田義和)