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プロの道に進むか迷う時期もあった ライバルの背中を追い続けた蝉川泰果が歓喜の号泣【2022年涙のワケ】

プロの道に進むか迷う時期もあった ライバルの背中を追い続けた蝉川泰果が歓喜の号泣【2022年涙のワケ】

所属 ALBA Net編集部
小高 拓 / Hiromu Odaka

配信日時:2022年12月23日 17時00分

意識が変わったのは今年4月に行われた「関西オープン」。タイトなコースでも持ち前のアグレッシブなゴルフが奏功し、単独首位で決勝ラウンドにコマを進め、3位で最終日最終組に入った。最終日は「77」と崩れて17位タイに終わり悔し涙を流したが、少しずつ自信が芽生えた。そして、6月に行われた下部のABEMAツアー「ジャパンクリエイトカップin福岡雷山」では優勝を遂げ、プロとしてやっていける自信をつけていた。

ただ、ゴルフのスタイルに迷った時期もある。関西オープンでは、ドライバーを多く握ったことでOBを打ってスコアを崩すことを経験した。「ドライバーを多く握ることのデメリットに気づかされた」。ティショットでセーフティに刻むゴルフも覚えていったが、8月に行われた「世界アマ」でガレス・ジョーンズコーチの言葉が重く響いた。

「誰よりも多くバーディを獲らないといけない状況で、飛距離が出ることをもっと活用しないといけない。この幅に打てないなら、打てるように練習するしかない」。ガレスコーチの言葉を受けて、自身の持ち味であるドライバーを多用するスタイルを貫いた。結果は最終日に5打差を逆転されて2位に終わったが、世界のトップアマと対等に戦えたこともプラスに働いた。

プロツアーで優勝争い、下部ツアーで優勝。世界アマでの躍動…。「いろいろな場数を踏んできて、こうすればうまくいく、こうなると崩れていくというのが分かってきました。精神的に落ち着いてできるようになったことが、強くなってきた部分かなと思います」。狭いコースでも悪いイメージを持たずに、OBを打っても仕方がないと“覚悟”を持ってドライバーを振ることで曲がらなくなった。経験を積み重ねたことで、4月に流した悔し涙が9月にはうれし涙に変わった。

日本オープンでもアグレッシブな攻めで、圧巻のプレーを見せた。難セッティングの中、3日目には「63」をマークするなど、トータル10アンダーで優勝。優勝争いした今年の賞金王の比嘉一貴が想定していた優勝スコアを、はるかに上回るビッグスコアで偉業を遂げたのは記憶に新しい。

2001年1月生まれの蝉川は同世代の背中を追い続けた。2年連続で世界アマランキング1位に君臨し、史上5人目のアマチュア優勝を遂げた中島啓太である。「啓太はライバルという意識ですし、いい目標でもあります。追いつき、追い越したい気持ちがある」。常に自分の先を歩く中島の存在を励みに鍛錬を重ねてきた。蝉川が歓喜のアマ初Vを遂げたグリーンサイドには、プロデビュー戦となった中島の姿もあった。

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