「自分は会心の1打だったんです。数字だけなら330ヤードは飛んでいました。にもかかわらず、石川さんに20ヤードも置いていかれたんです。もう外国人と回っているような感覚でした」
と目を丸くして話す。それだけ振っても曲がらなくなってきたのだろう。ちなみに、このホールは残り144ヤードから52度のアプローチウェッジを使って、ピンそば2メートルにつけてバーディを奪っている。
となれば、やはりロングパットの精度なのだろう。ホールアウト後は、練習グリーンでボールを5つ用意してエッジ付近に置くと、そこから約20メートル離れたカップを狙って30分以上練習していた。最初はいつもと同じクロスハンドに握り、途中からノーマルな順手で握り直してストローク。ヘッドの動きを確かめるように、ボールを転がす。途中、その距離をカップインさせると、練習グリーンを囲んでいたギャラリーから大拍手を浴びた石川。それに応えるかのようにガッツポーズを見せるファンサービスも忘れなかった。
どちらにせよ、残り36ホールしかないが、前日からいうように、自分のベストを目一杯に出すだけしかない。昨年よりは悲壮感もなく、非常に楽しそうにプレーしている石川だけに、逆転優勝の可能性は十分あるだろう。(文・山西英希)
