今回は、キャディーさんって何するの? というお話です。
21世紀になってからゴルフを始めたゴルファーの多くは、キャディー付きのゴルフを未経験だというデータがあります。昭和の時代には、ほぼ全てのコースでキャディー付きのプレーが強制されていました。現在とは逆に、セルフプレーを未経験だというゴルファーのほうが多かったのです。変われば変わるものです。
プレー中、キャディーは、ゴルファーの唯一の味方です。クラブを渡してくれたり、ボールを拭いてくれたり、一緒に距離やラインを確認したりもします。キャディー付きのほうがスコアが良いというデータもあるほどです。レベルが高くなればなるほど、ゴルファーとキャディーは二人三脚でプレーするようになるのです。
とはいえ、一般的なゴルフでは、キャディーは飛行機に乗ったときのCAさんのような存在です。お互いの立場を尊重しながら、旅の間だけ助けてもらうイメージです。奴隷や召使いではなく、パートナーだと考えて接することが正解なのです。
欧米では、現在の日本のようにセルフプレーが基本です。キャディーは、コースが割り振るものではなく、プレーヤーと個別の契約になることもあります。費用は日本より高額になりますが、理由は簡単で、一人のプレーヤーに一人のキャディーが付くケースが多いからです。日本は、一組に一人の共用キャディーという制度が浸透しているので、自分だけのキャディーが付くというのは滅多に経験できません。
ちなみに、欧米のゴルファーが日本のキャディーを見て驚くことがあります。女性が圧倒的に多いからです。欧米では肉体労働であるキャディー業務を女性にさせるという考え方がそもそもないようで、常識を疑うと不愉快に感じる人すらいます。アジア諸国に女性キャディーが多いのは、日本のゴルフ文化が浸透した結果なのだそうです。
かつての日本のゴルフシーンでは、キャディーをいち早く自分の味方にできることは、尊敬される上級ゴルファーとしてのテクニックの一つでした。セルフでも、キャディー付きでも、ゴルフは楽しいのです。自分に合ったプレースタイルを知ることで、ゴルフは何倍も面白くなることも知っておきたいものです。
さて、キャディーってフランス語なの? という話も面白いのですが…… それはまた、別のお話。
文・篠原嗣典/画像・GettyImages