オーソドックスな演出を心がけるUSGAの姿勢は今年の予選2日間の組み合わせにも見て取れる。近年の大会では話題性を高めるために、最も注目の3人、あるいは別の大会で激しく競い合った勝者と敗者、あるいは犬猿の仲と噂される選手どうしを同組にするなど、意図的に作られた奇抜な組み合わせが見受けられた。
だが、今年はそうしたペアリングは見当たらず、トップ3のジェイソン・デイ、ジョーダン・スピース、ローリー・マキロイは、それぞれ別々の組になっている。
奇抜ではないものの、目を引いているのは今年のマスターズで惜敗したスピースとオーガスタでアマチュアとして活躍したブライソン・デシャンボーの組み合わせだ。デシャンボーはマスターズ直後にプロ転向し、昨年の全米アマ優勝資格でこの全米オープンに出る道はその時点で放棄せざるを得なかった。だが、地区予選を勝ち抜いて自力出場の道を掴んだところに精神力と勝負強さが漂う。
世界ナンバー1のデイは、昨年大会では2日目に持病のめまいで倒れ、優勝争いに絡みながらも勝利には至らなかった。が、メジャーチャンプになり、今季はすでに3勝を挙げ、自信を倍増させている今年のデイこそは優勝候補の筆頭と言っていい。
日本の期待を背負う松山英樹はセルヒオ・ガルシア、ダスティン・ジョンソンと同組。この3人、いずれもメジャー大会をいつ制してもおかしくない実力者揃いだが、いずれもメジャー未勝利だ。まだ全米オープン4回目の挑戦となる松山には「悲願」という言葉を使うのは早すぎるが、ガルシアやジョンソンにとって全米オープン優勝はまさに悲願。