上がり4ホールで技術的には2度もミスをおかしたが、それでもその4ホールで3バーディを奪って圧勝できたのは、スピースの戦い方の上手さのおかげにほかならない。
優勝スコアは30アンダー。エルスの31アンダーを抜くことはできなかったが、スピースは「とても満足だ」と大きく頷いた。それもそのはず、元々、この日のスピースにとっての「31」は、抜くための数字ではなかったのだ。彼が本当に欲しかったものは、アンダー数を示す30台の数字ではなく、優勝の二文字だけ。
そんなふうに考え、実践できるスピースらが上位にひしめく昨今の米ゴルフ界。そのレベルは、確かに、かつてないほど高まっている。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)