けれど、それは目に見える部分の動きが早いということであって、それぞれの選手がビッグスター、ましてや世界一になるまでには、やっぱり長い時間を費やしてきた。
かつて惜敗を繰り返していたデイは、優勝争いになると「勝ち急いで負けていた」。2013年マスターズのときも「グリーンジャケットを羽織る自分を想像して気持ちが先走った。メンタルエラーで勝利を逃した」。
以後、複数のメンタルトレーナーの指導を受け、「オフシーズンも、試合がないオフウィークも、本当に本当に一生懸命に練習と努力を積んできた。肉体づくりにもゲームづくりにも必死に取り組んできた。その成果は、すぐに表れなくても、いつかは表われるから、今はやるべき努力をするのみだと自分に言い聞かせてきた。そういう意味では、努力の成果は想像以上にとても早く表れてくれた」
初日50位から最終日は7位へ順位を上げ、今季9度目のトップ10入りを果たした松山英樹の胸の中にも、かつてのデイと同じような想いがあるようだ。今、王座を競り合っている同世代の彼らの快走レースに「入っていこうとは思わない」と松山は言い切る。彼らのことがまったく気にならないはずはないけれど「あんまり気にしていない。毎試合いいプレーができたらいい。優勝争いしたとき、プレッシャーの中でいいプレーができるよう練習することが大事。優勝争いを何回もすることが大事」。
何もかもがスピーディーな時代だからこそ、焦らず、先走らず、惑わされず。それが頂点への唯一で最短最速の道。