しかし、途中から自力で気持ちを切り替えた。「あの調査結果を逆利用してやる。心の火を燃やしてやる」。腹立たしい調査結果をモチベーションに変えて活用しようと心に決めたファウラー。最終日の猛追とプレーオフを制したあのエネルギーの源は、そうやって生まれたのだとファウラーは振り返った。
勝って、悔しさを吹き飛ばしたい。勝って、いろいろ言った人々の口をふさぎたい。そう思ったときに、本当にそこでタイミングよく勝つのは大変なこと。このビッグ大会でそれができた心の糧は、調査結果に対する悔しさだったが、それができたゴルフの糧は、昨年のメジャー4大会をはじめとする数々の惜敗経験だった。
「これまで、僕はいつも米ツアーでたった1勝しかしていない選手という具合に見られてきた。それを変えたくて、たくさん優勝争いに絡んできた。でも、いつもラストグリーンで勝利を噛みしめながら立ちつくすラストマンになれずに来た」
あの調査結果を知って、この試合で最も勝ってほしい選手の筆頭にファウラーを挙げていた人は多かったかもしれない。ファウラーに同伴していた母親や彼女、ユタカという名の日本人の祖父をはじめとする家族、そして誰よりファウラー自身が「今週こそ、勝つべきときだ」と強く思っていたはず。
そう、今日こそ、あなたがラストマン。ファウラーは「第5のメジャー」にふさわしいビッグな勝ちっぷりを披露し、高い人気と注目度にふさわしい米ツアー2勝のビッグな選手になった。