「日本で10代でやっていた時、周りから見たら開き直っている感じで、両サイドOBで狭いホールなのにドライバーでマン振りしていくっていうのが僕のスタンスだった。そこにトライしていくっていうことしか考えてない。ある意味本筋。それがアメリカでそういう1打のミスが簡単に予選落ちにつなるというのを思い知らされた。ミスしちゃいけない、バーディを狙わないでやっていったほうがいいんじゃないかって思ったこともあった」。米ツアーの戦いに慣れていく一方で、“らしさ”を失っていた。
石川は続ける。「でも、それを別に悪いとは思わない。攻め方は変わっても大事なのは常に本筋にトライしているかということ。先週(ホンダクラシック)は池があれだけ絡んでるコースで4日間通して5回ぐらい池にいれてるけど結局25位で終わっている。先週は本筋しか狙っていなかった。そこが僕の行きたい場所、求めてる場所かなという感じがする。もっとトライしたい。今はいくらできなくてもトライしていく。もっと強くそう思いたいし、それが必要だと思う」。
石川はある時ボソっとこうこぼしたことがある。「僕、セべになりたいんすよ」。その時の雑談の意味合いは、あのセべリアーノ・バレステロスのように、どこに曲げてもリカバリーしてバーディを獲っていくようなプレーを見せたいといったような内容だったが、強い気持ちで本筋を狙ってトライしていくという言葉は、どこかあのレジェンドに重なる部分もないだろうか。もちろんセべになんてなれないけれど、強い言葉の中ににじんだ石川の覚悟。今すぐ結果につながらなくても、本筋へのトライをしっかり見届けたい。