彼らの棄権や欠場は、もちろん正真正銘の肉体の故障ではあるのだが、ちょっと見方を変えると、それは昨今の目まぐるしい諸々の変化へ対応しようとする際の軋轢や精神的な苦悩がどこかで何かの無理につながり、その無理が結果的に引き起こしている故障に見えなくもない。
そして、そうした変化と無理と故障の中で、大物選手たちの得意コースとか、得意大会とか、そういうかつての常識が少しずつ常識ではなくなり始め、そうした小さな変化が、やがては大きな変化へとつながっていく予兆のように感じられてならない。
願わくば、そうではなく、大物選手が大物らしさを見せつけるマスターズになってほしいと思う。けれど、その反面、ゴルフ界が大きく変化しつつある今年は、グリーンジャケットを競い合う顔ぶれも大きく変化するマスターズになりそうな予感がする。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)