早々にスペシャル・テンポラリー・メンバー資格を満たし、以後は無制限のスポンサー推薦で毎週のように試合に出られるようになった。2014年のフル出場権獲得も、ほぼ確実化した。だが、米ツアーの規定により、優勝しない限りは13年シーズンのフェデックスカップには参加できない状況にあった。そんな中、7月のジョンディア・クラシックで初優勝。
こうしてスピースはフェデックスカップのプレーオフ4試合にも出場。ノンメンバーのゼロの状態からシーズンをスタートしながら、米ツアーの正式メンバーになり、チャンピオンになり、14年のマスターズ出場資格を獲得し、シーズンエンドにはルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝き、世界ランクは22位。この歩み、いや、この走り抜け方が、米ゴルフ界の若者たちの憧れとなり、目標となり、「スピースする」という動詞が口ずさまれるようになった。
そして今、すでに「ネクスト・スピース」と目され、自身も「俺だってスピースしてみせる」と意気込みを見せ、2014年シーズンの目玉になりそうだという期待を寄せられている選手がいる。マックス・ホーマ、22歳。カリフォルニア大学ゴルフ部4年生のとき、NCAA選手権で個人優勝を飾り、ウォーカーカップ代表選手にも選ばれ、昨春、卒業と同時にプロ転向した。
米ツアーの14年シーズンが今年10月に開幕したとき、ホーマが置かれていた状況は、13年シーズン開幕時のスピース同様、出場権も何もないノンメンバー。スピースとまったく同じ、ゼロからの出発となったホーマだが、スポンサー推薦を得て出場した開幕戦のフライズコム・オープンで9位に食い込み、トップ10入りしたことで第2戦のシュライナーズホスピタル・オープン出場へ。そんなホーマの歩みは13年のスピースの歩みとそっくりになるのではないか、「ホーマも“スピースする”のではないか」という具合に、大いなる期待が寄せられている。
「ジョーダンが米ツアーを目指す僕らのような若い選手たちに手本を示し、道筋をつけてくれた。でも、そのジョーダンは雲上人ではなく、僕らの仲間の一人だった選手だ。僕自身、大学時代にジョーダンと戦ったことがある。だから、ジョーダンにできることが僕にできないはずはない。彼にできたことは僕にもできる」