松山と回ると優勝する!?ミケルソン、ウッズに続きダフナーも
あれは11年大会の3日目の夜。コース近くのステーキハウスに行ったら、最終日を最終組で回ることになったダフナーと偶然出くわした。ダフナーの横にはフィアンセ(現在は妻)のアマンダが座っていた。ダフナーは今田竜二と二軍時代をともに過ごした親友だ。今田を取材する際、ダフナーはいつも近くにいたため、いつしか私も自然に親しくなっていた。そんなダフナーとせっかく決戦前夜に出くわしたのだから前祝いということで、彼らと一緒に記念写真を撮った。
だが、翌日、ダフナーは首位を走っていながら終盤にスコアを落とし、プレーオフに持ち込まれてキーガン・ブラッドリーに惜敗。18番グリーン脇で茫然とたたずんでいたアマンダに「残念でしたね。次こそはジェイソンが勝ちますよ」と声をかけ、敗北会見を終えたダフナーにも同じように「残念だったね。次こそはアナタが勝つよね」と声をかけた。ダフナーもアマンダも「サンキュー」と答えるのが精一杯。それ以上の言葉を発すると、彼らも私も涙が溢れてしまいそうだった。
その翌春、ダフナーは米ツアーで初優勝を挙げ、続けざまに2勝目も挙げ、その後も優勝争いを続けて一気に大ブレイク。アマンダとの結婚式も挙げ、成績もランクも私生活も、すべてを上昇させていったが、彼の飄々とした態度や姿勢は決して変わらなかった。
記念写真を撮った前祝いが悪夢に変わったあの全米プロから2年が経過した今日の最終日。優勝会見で淡々と喜びを語るダフナーをアマンダは会見場の端っこの席からじっと見つめていた。