今季4戦目にして初めて予選を通過し、61位に終わった石川遼は「僕は(ランク)100位で10年、米ツアーにいたいわけじゃない。勝たないと何の意味もない」と言っていた。勝利を渇望する姿勢、「目標は大きく高く設定したい。モチベーションを高いところに保ちたい」という姿勢はアスリートには必須の戦意の源だ。
けれど、アマチュア時代に数々の勝利を挙げ、名門UCLAゴルフ部を経てプロになり、米ツアー7年目にしてやっと初勝利を掴んだメリックも、7年もの歳月を鳴かず飛ばすのランクに甘んじながら未勝利のまま過ごしたかったわけではないだろう。
誰もが優勝を夢見ている。誰もがすぐにでも勝ってやるぞと挑んでくる。そんなつわものたちが毎週毎試合、150名前後も集結し、競い合うのが米ツアー。その中で、本当に勝利を掴めるのは、ほんの一握りだけだ。
だからこそ初優勝を遂げた選手は、誰もが天にも昇る気持ちになり、まるでデジャヴのようなリアクションを見せるのだと私は思う。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)