最初は08年マスターズ。優勝を強く意識しながら臨んだサンデーアフタヌーンに大きく崩れ、人目もはばからず号泣したあのとき、目前まで迫った優勝が瞬く間に遠のくことを彼は知った。
2度目は11年ヘリテージで4年ぶりの勝利を挙げたとき。不調や故障に苦しんでも、努力と忍耐でカンバックできることを実感した。
そして3度目はカイル・スタンリーとのプレーオフを制し、通算3勝目を挙げた昨年のファーマーズインシュアランス・オープン。目前の優勝が誰かから遠のくと、逆に遠のいて見えたはずの優勝が自分のものになることをスネデカーは米ツアーで初めて直に体験した。
ほんの一瞬のわずか一打がきっかけで流れが変わり、勝つことも負けることもあるのがゴルフ。いつ何が起こるかわからない変化のゲームだからこそ、自分自身はルーティーンもプレーのペースも顔色さえも変えず、一貫した姿勢で挑む。勝負に出るのは、とどめの一打だけ。それが、あの17番の7番アイアンのショット、そして沈めたバーディパットだった。
開幕戦を3位でキックオフした今季、ファーマーズインシュアランス・オープンではタイガー・ウッズに次ぐ2位、先週のフェニックスオープンではフィル・ミケルソンに次ぐ2位。3週連続で優勝争いに絡み、ついに手に入れた今週の優勝で、スネデカーはフェデックスカップランク1位の座を守り、世界ランクは6位から4位へ上昇した。