とはいえ、これだけ冷静に適格に自己分析ができていることは素晴らしい。今週は「僕の大好きなリビエラだ」と期待を膨らませる「ジェネシス招待」。そこで「今度こそは」の復活優勝を果たしてほしい。
そしてペブルビーチでスピースに代わって優勝争いを演じ、勝利したのは、スピースと同期でジュニア時代からの付き合いである盟友、ダニエル・バーガーだった。
スピースとバーガーと言えば、2人がプレーオフにもつれ込んだ17年の「トラベラーズ選手権」が思い出される。あのときは、バンカーから直接カップに沈めたスピースが、興奮のあまり、その場で大きくジャンプしながらキャディと体をぶつけ合って喜んだ。そんな歓喜の場面を見せつけられたバーガーは、それでも静かに微笑みながらスピースに右手を差し出して祝福の握手を交わした。
今大会でも、スピースが初日の10番に続き、3日目の16番でもミラクル・チップインでイーグルを奪った姿を傍目に、バーガーは3日目の18番でティショットをOBとしてダブルボギーを喫し、首位から2位へ後退した。だが、バーガーはやっぱり静かに微笑みながら「ジョーダンはグッドプレーヤーだ」と讃えていた。
そんなふうに感情を波立たせないバーガーの人柄が、今大会の最終日のプレッシャー下で有利に働いたのだと思う。メンタル面を静かに保ち、淡々とプレーできていたからこそ、プレー自体には攻守のメリハリを付けることができた。最も肝心なサンデー・アフタヌーンに2番と18番でイーグルを奪う見事なゴルフを披露し、勝利することができたのだ。
