ここまでメジャー3戦は前週に活躍している
1977年、樋口久子以来の女子メジャー制覇に臨むのは畑岡奈紗、横峯さくら、上原彩子の米ツアー主戦場メンバーに加え、鈴木愛、比嘉真美子、そしてアマチュアの安田祐香ら日本を代表する選手たちが顔を揃えた。
優勝候補の筆頭に挙げられるのは米ツアー3年目、20歳の畑岡奈紗だ。3月にキア・クラシックで米ツアー通算3勝目を挙げ、今季の目標に掲げた「4日間大会制覇」を達成。残りはもう一つの目標である「メジャー制覇」だ。第3戦のKPMG女子PGA選手権では最終日に65と爆発し、「しっかりとメジャーにピークを合わせて行くことが大事」と語った。
この「ピーク」こそ勝利へのカギだ。畑岡は今年、ここまでのメジャー3戦はすべて前週に活躍しており、絶好調でメジャーを迎えている。初戦のANAインスピレーションは優勝したキア・クラシックの翌週。全米女子オープン選手権の前週はピュアシルク選手権で2位。KPMG女子PGA選手権の前週、マイヤーLPGAクラシックでも2位だった。
「それは自分でも感じていて、前の週は良いのに……と、期待がちょっと高すぎるのかなと思います。それでボギーが先行すると、あれ? ちょっと違うと感じてしまった」
と苛立ちを募らせたという。
実はこのメジャーにピークを合わせるというのは決して容易ではない。あのタイガー・ウッズでさえも畑岡と同じくメジャー前週にばかり勝利したシーズンがあったほどだ。しかしウッズと同じ経験をできたのは大きい。KPMG女子PGA選手権で、3日目を終えて畑岡が向かった先は練習場ではなく近くのモールのジェットコースターだった。
「絶叫してすべて発散、それで終わり!」と翌日には大爆発に繋げたから、いかにメンタルが強いかよく分かる。エビアン選手権の前週は新設大会のチーム戦、ダウグレートレークスベイ招待に山口すず夏と出場予定。「楽しくやりたい」と気負いなく話す姿からも、落ち着いた様子が窺える。
鈴木・比嘉・安田ら好調な日本勢にも注目
また、昨年の全英女子オープンで最後まで優勝争いを演じ4位に入った比嘉真美子にも注目だ。今年の全米女子オープン選手権でも初日から首位とその実力の高さを世界にみせた。
そして今年のオーガスタナショナル女子アマチュアで大活躍した18歳のアマチュア、安田祐香が初の女子メジャーに臨む姿も絶対に見逃せない。
その日本勢を迎え打つのは世界ランキングの上位者たち。今年のANAインスピレーションでメジャー勝利を挙げたコ・ジニョン(韓国)、今季2勝のブルック・ヘンダーソン(カナダ)も絶好調でメジャー2勝目を狙う。さらにレキシー・トンプソンも復調を果たし手強い存在。ジェシカ、ネリーのコルダ姉妹も調子を上げている。強豪が揃う華やかな2週間がまもなく始まる。
文/武川玲子 写真/村上 航