一方で今回出馬が噂され、吉村の推薦人となっている芹澤信雄に対する待望論はいまだ根強い。その人望と知名度に魅力を感じている会員は多く、吉村が環境を整備したところへ、芹澤が後継する流れなら夢を託せるという見方もある。

一方、テレビ解説者として活躍中の田中泰二郎氏は59歳という若さと、都内の渋谷区在住という機動性が魅力。「何かあった時には車なら15分、電車でも35分でオフィスに着けます。自分としては少なくとも2期というのは続けたいと思うし、ジュニアリーグを含めたジュニアの育成に力を入れたい。ジュニアが多くなり指導者が必要になれば、われわれPGAにもすごくプラスになる」と、抱負を語った。

さらに「問題は山積みです。協会のウェブサイトの老朽化に関しても、私の知り合いのシステムに詳しい人によれば、手直し、手直しでいくよりは、完全リニューアルのほうがお金がかからないという意見もある」と、問題となったウェブサイトの構築にもスピード感を持って取り組むことを表明した。

長期政権の末期にウェブサイトの問題で揺れに揺れたJPGA。暴排や協会の知名度向上、シニアツアーやジュニアリーグの活性化など、多くの功績を残した倉本会長も、任期最後の年は苦難の連続といった感はぬぐえない。

一方で知名度を生かした営業力でも大きな力を発揮していた倉本会長の後任とあって、何かと比較されることも多いはず。まずは10日。社員総会の前に会長候補者選挙を実施し、会長候補者を決定。社員総会で理事を選任し、社員総会終了後に臨時理事会を開催して会長を選任、という流れになる。

PGAが歩むこれから先2年の方向に、一つの答えが明日出る。（取材・文/日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川　朗）