2012年に年間4勝を挙げて、43歳にして初めて賞金王を獲得した藤田寛之。1997年の「サントリーオープン」でジャンボ尾崎を振り切り、プロ6年でツアー初優勝。それ以降、勝ち星を増やし、01年から賞金ランキング20位以内をキープ。徐々にトッププロの階段を上り、プロ21年目にして頂点に立った。
20代、30代と“高値安定”の成績を残してきたが、藤田自身、賞金王というタイトルを意識したことはない。すべては「今までの積み重ねだと思う」とメジャーなど海外でもまれ、レベルアップを図った結果であるという。
“中年の星”として同世代に夢を与える活躍だったが、こんなことも言った。「40代が強いというのは他のスポーツではありえない。若い選手にはもっともっと高いところを見て欲しい」。12年当時は藤田の4勝をはじめ、谷口徹が2勝、久保谷健一も優勝するなど40代の活躍が目立った。「自分が賞金王になるようじゃダメですよね」と言い切る。ビッグタイトル獲得を喜ぶとともに、43歳に負けた若手に苦言を呈した。
メジャーを中心に海外の試合に出れば「何をしなければいけないか見えてくる」と、世界と戦うための取り組みが分かり、自然とレベルアップできると実証した。40代の自分でもできるのだからと若手も同じように世界に目を向けて欲しいと、常々話す。松山英樹に続く選手が現れるヒントはここにある。