横浜カントリークラブを舞台に開催された2018年の「日本オープン」。国内男子ツアー初出場のアマチュア、桂川有人(日本大学2年)が単独首位で予選を通過した。詳細な記録が残る1985年以降、日本オープンでアマチュアが首位で予選通過したのは初めてのことだった。
彗星のごとく現れた桂川は、渋野日向子、金谷拓実らと同じ年のいわゆる黄金世代。高校時代3年間、フィリピンで武者修行して日本大学に進学している。フィリピン時代は、家の隣にジャック・ニクラス設計の“世界基準”の池の多い難度の高いコースがあり、そこで週4〜5回ラウンドするなど恵まれた環境で腕を磨いた。
桂川が練習するゴルフ場には、日本でも活躍するアンジェロ・キューやジュビック・パグンサンらもいた。「フランキー(・ミノザ)さんとも食事したことあります」。ミノザは、かつてジャンボ尾崎らともしのぎを削るなど国内男子ツアー7勝を挙げているフィリピンの英雄である。成功したプロに囲まれて生活をしていて見たり、聞いたりプロの技を吸収できる環境でもあった。
日本ツアーは初出場だったが、アジアンツアーやフィリピンツアーの出場経験があり、アジアの猛者が揃うアジアンツアーで17位タイに入った経験もある。初出場の日本オープンは決勝ラウンドでスコアを落として33位タイに終わったが、偶然ではなく裏打ちされた地力の持ち主だった。